コンテンツにスキップ

接続とアダプタ(ERP Cloud アダプタ・接続エージェント)

接続は「どこに・どうやってつなぐか」の定義です。統合(integration)は接続を部品として使い、処理の流れとデータ変換を定義します。1 つの接続は複数の統合で再利用でき、プロジェクト内で共有できます。

要素 内容 例
アダプタ 接続先の種類ごとの部品 Oracle ERP Cloud、REST、SOAP、FTP、File、Oracle AI Database、ATP
接続プロパティ 接続先の URL など ERP のホスト名、REST の Base URL、SFTP のホストとポート
セキュリティ・ポリシー 認証方式と資格情報 Basic 認証、OAuth Client Credentials、Username Password Token
アクセス方式 ネットワーク経路 インターネット経由、接続エージェント、プライベート・エンドポイント
ロール 統合での使い方 トリガー、呼出し、トリガーと呼出しの両方
  • トリガー(Trigger):統合の起点。外部からの要求やイベントを受け取ります(例:REST アダプタで API を公開、ERP Cloud アダプタでビジネスイベントを購読)
  • 呼出し(Invoke):統合の途中から外部を呼び出します(例:ERP の REST リソースを更新、SFTP にファイルを書く)
  • 接続を作成するときにロールを選びます。両方に使う接続は「トリガーと呼出し」にします
  1. プロジェクトを開き、Design タブで接続を追加します(スタンドアロンで作る場合はナビゲーション・ペインの Design > Connections)
  2. アダプタを選び、名前・ロール・説明を入力します。名前は 50 文字までです
  3. 接続プロパティ(接続先の URL など)を入力します
  4. セキュリティ・ポリシーを選び、資格情報を入力します
  5. アクセス方式を選びます。インターネット経由、接続エージェント(オンプレミス)、プライベート・エンドポイント(OCI の VCN 内)のいずれかです
  6. Test で疎通と認証を確認し、保存します

セキュリティ・ポリシーの選び方

Section titled “セキュリティ・ポリシーの選び方”

REST アダプタのトリガー(OIC が API を公開する側)は、Basic 認証、OAuth トークン認証、JWT 認証、OCI プリンシパル署名認証に対応します。呼出し(OIC が外部 API を呼ぶ側)で選べる主なポリシーは次のとおりです。

ポリシー 使う場面
HTTP Basic Authentication 社内 API など、ユーザー名とパスワードで認証する API
OAuth Client Credentials システム間連携の標準。クライアント ID とシークレットでトークンを取得
OAuth Authorization Code Credentials ユーザーの同意が必要な API(3-legged)
OAuth Custom Two Legged Flow/Three Legged Flow トークン取得の要求形式が標準と異なる API
Multi Key Authentication API キーや署名など、複数のヘッダーで認証する API
AWS Signature Version 4/OCI Signature Version 1 AWS や OCI の API
OCI Service Invocation リソース・プリンシパルで OCI サービスを呼ぶ
JWT Client Assertion/JWT User Assertion 秘密鍵で署名した JWT でトークンを取得

Fusion ERP(Financials・調達・SCM・PPM)と連携するための専用アダプタです。認証や WSDL の扱いをアダプタが吸収するため、REST/SOAP アダプタで直接つなぐより設定が簡単です。

  • 接続プロパティ:ERP Cloud のホスト名(例:https://<your-pod>.fa.<region>.oraclecloud.com)を指定します。アダプタがサービス・カタログ(SOAP)、イベント・カタログ、インタフェース・カタログ(REST)の URL を自動で特定します
  • セキュリティ・ポリシー:次の4つから選びます
    • Username Password Token
    • Username Password Token With PGP Key Support
    • OAuth Authorization Code Credentials
    • OAuth using JWT User Assertion
  • 統合ユーザーのロール(Fusion のセキュリティ・コンソールで付与)
    • Integration Specialist(ジョブ・ロール)
    • 連携する対象のデータ・アクセス(例:AP 請求書なら対象 BU へのアクセス)
    • AttachmentsUser(ERP Integration Service のログ・出力ファイルの取得に必要)
    • SOAOperator(ERP のビジネスイベントの受信に必要)
    • FND_MANAGE_CATALOG_SERVICE_PRIV(Web サービス・カタログの参照に必要)

統合ユーザーの考え方は 認証・認可(Basic・OAuth・JWT・統合ユーザー) も参照してください。

トリガーの Request ページでは、次の3種類から選びます。

選択肢(画面表記) 内容
Receive Business Events raised within ERP Cloud ERP のビジネスイベントを購読する
Receive Callback Message upon completion of FBDI bulk Import Job submitted via another Integration 別の統合で投入した FBDI 取込の完了通知(コールバック)を受ける
Receive Requests from ERP Cloud Applications (explicitly sent from Groovy Script or Business Logic) Groovy スクリプトなどから明示的に送られたビジネス・オブジェクトを受ける

呼出しの Actions ページでは、次の3種類から選びます。

  1. Query, Create, Update, or Delete Information:参照・作成・更新・削除。Operations ページで次のどれから選ぶかを決めます
    • Business Objects:SOAP のビジネス・オブジェクト
    • Services:SOAP サービス
    • Business (REST) Resource:Fusion の REST リソース。親リソースを選び、必要な子リソースだけを選びます(子リソースを選ばないと全子リソースが含まれ、WSDL が大きくなりメモリ不足の原因になります)。get で使えるクエリ・パラメータは expand・fields・onlyData に限られます
  2. Import Bulk Data into Oracle ERP Cloud:FBDI による一括インポート(後述)
  3. Send Files to ERP Cloud:Oracle WebCenter Content(UCM)へのファイル・アップロード。既定のセキュリティ・グループは FAFusionImportExport です。UCM からのダウンロードはできません

その他の押さえどころは次のとおりです。

  • SQL は書けません。Fusion のデータを任意条件で取り出すときは、Fusion 側に BI Publisher レポートを作り、それを呼び出します(BI Publisher)
  • BIP ジョブの投入とコールバックには、非推奨になる SubmitJobwithOutput ではなく ExportBulkData の利用が推奨されています
  • REST リソースの DFF・EFF(フレックスフィールド)も選択してマッピングできます
  • REST の応答に含まれる HATEOAS リンクを使い、実行時にエンドポイントを決める 動的な呼出し もできます
  • 添付ファイルは 25.02 以降の新しい接続では MTOM が既定 です。応答の添付は参照(attachment reference)として返り、Stage File アクションでそのまま読めます

ERP Cloud アダプタのトリガーで、Fusion が発行する ビジネスイベント を受け取れます。Financials の例は次のとおりです(一覧は公式の「Supported Financials Business Events」を参照)。

  • 買掛管理(Payables):請求書の作成・承認・検証・取消、保留の適用・解除、支払の作成・無効化 など
  • 一般会計(General Ledger):会計期間のオープン・クローズ、仕訳バッチの承認・転記完了 など
  • 売掛管理(Receivables):請求書の完了、入金の作成・消込、AutoInvoice の完了 など
  • 共通(Financials Common Module):ERP Integration Inbound/ERP Integration Outbound
  • 調達(Procurement):購買オーダー・イベント、仕入先の作成・更新 など

設定と運用の要点は次のとおりです。

  1. Request ページで購読するイベントを選びます。Application Composer で作成・公開したカスタム・ビジネスイベントも選べます
  2. 必要なら フィルター式 を書きます。条件を満たすイベントだけが OIC に届くため、不要な起動とメッセージ消費を減らせます
  3. 統合を 有効化した時点で Fusion 側に購読が登録 されます。フィルターを変えたら保存して再有効化します
  4. プライベート・エンドポイント経由ではビジネスイベントを受け取れません

フィルター式は XPath で、イベントの ワイヤー・ペイロード(アクティビティ・ストリームの TriggerWirePayload_tTextPayload)を基準に書きます。公式のベストプラクティスは次のとおりです。

  • マッパー用の内部ペイロード(TriggerInternalPayload_tTextPayload)ではなく、ワイヤー・ペイロードのパスを使う
  • ADF サービスでは result と項目の間に Value の要素が入るので、それも含める
  • 名前空間 URI ごとに別の接頭辞を宣言する(1 つの接頭辞を使い回すと常に false になる)
  • 文字列は引用符で囲み、数値は囲まない
フィルター式の例(接頭辞と名前空間 URI はワイヤー・ペイロードから写す)
$eventPayload/ns1:result/ns2:Value/ns3:ItemNumber='ITEM-100'

イベント駆動連携の設計(冪等性・再送)は 演習2:ビジネスイベントで外部システムへ通知する で扱います。

FBDI(一括インポート)とコールバック

Section titled “FBDI(一括インポート)とコールバック”

FBDI の仕組みそのものは FBDI の仕組みと手順 を参照してください。OIC からの取込は次の2つの統合で構成します。

統合 トリガー 役割
取込統合 スケジュールまたは REST など CSV 作成 → zip → ERP Cloud アダプタの Import Bulk Data into Oracle ERP Cloud で取込を依頼
コールバック統合 ERP Cloud アダプタ(Receive Callback Message upon completion of FBDI bulk Import Job…) 取込ジョブの完了(成功・失敗とも)を受け、結果を通知・記録

取込統合の呼出し(Import Bulk Data)で設定する主な項目は次のとおりです。

  • Select Bulk Data Import Process:実行するインポート・ジョブ(例:買掛金請求書のインポート)。一覧にはインタフェース ID、UCM アカウント、ジョブ名とパッケージ名が表示されます
  • Job Property File:ジョブ・パラメータを書いたプロパティ・ファイルを UCM に別途置いて再利用する場合に指定します
  • Extract File:処理後に取り出すファイル(All/Error/Log/Out/None)
  • Response ページの Enable Callback:選択すると、完了時に ErpImportBulkDataEvent が発行され、コールバック統合が起動します

コールバック統合では、対象のインポート・ジョブを選び、Download Options(Always/On Failure/On Success/Never)でログ・ファイルを取り出す条件を決めます。統合を有効化すると購読は自動で登録されます。

ERP Integration Service を直接呼ぶ場合の jobOptions の例
<jobOptions>ExtractFileType=ALL,InterfaceDetails=TO_DETERMINE</jobOptions>

ExportBulkData(一括エクスポート)の完了は、Import とは別の方法で受けます。エクスポートを投入する統合で jobOptions に EnableEvent=Y を加え、受け側の統合で ERP Cloud アダプタのトリガーから ERP Integration Outbound イベントを購読します。ペイロードの DOCUMENTID を使って UCM から結果ファイルを取得します。

REST/SOAP/FTP/ファイル/DB アダプタ

Section titled “REST/SOAP/FTP/ファイル/DB アダプタ”
アダプタ 主な用途 押さえどころ
REST API の公開(トリガー)と外部 API の呼出し トリガーで構造化ペイロード 100MB、添付・バイナリ 1GB まで。OpenAPI(Swagger 2.0 など)の取込・公開。トリガーはプライベート・エンドポイント非対応
SOAP WSDL ベースの Web サービスの公開と呼出し 構造化 XML は 100MB まで(接続エージェント経由は 50MB)
FTP FTP/SFTP サーバーとのファイル受け渡し(File Server を含む) スキーマなしの読取り・ダウンロードは 1GB まで。PGP による暗号化・復号に対応
File オンプレミスのローカル・ファイル・システム 接続エージェント経由でのみ利用可能。ポーリングのトリガーにも使える
Oracle AI Database/ATP など DB 系 SQL の実行、ストアド・プロシージャ、表への操作、ポーリング ストアド・プロシージャと PureSQL は 240 秒でタイムアウト。表操作・プロシージャの応答は 10MB まで
  • REST アダプタの呼出し では、504 エラーの自動リトライを無効化できます。相手側で処理済みなのに再送されて二重登録になるのを防ぐためです
  • REST アダプタのトリガーを設定すると、Summary ページにサンプルの cURL が表示されます。外部への接続情報の連携に使えます

接続エージェント(オンプレミス接続)

Section titled “接続エージェント(オンプレミス接続)”

接続エージェント(connectivity agent)は、インターネットから直接アクセスできないシステム(オンプレミスの DB、EBS、社内 SFTP など)と OIC の間でメッセージをやり取りする仕組みです。

  • OIC 側のクラウド・エージェントと、社内ネットワークに置く オンプレミス・エージェント で構成されます
  • 通信はすべてオンプレミス・エージェントから開始 します。エージェントが外向きの TLS 通信で OIC に処理要求を取りに行き(プル型)、結果を返します。受信用のポートを開ける必要はありません
  • エージェントの登録は OAuth のトークン認証です(OIC 3 では Basic 認証での登録は不可)
  • 社内のアウトバウンド・プロキシを経由でき、プロキシ認証にも対応します
  • エージェントにはデータを保存しません。REST/SOAP のコールバックはエージェントを経由せず、直接 OIC に届きます

エージェント・グループと冗長化

Section titled “エージェント・グループと冗長化”
  • エージェントは エージェント・グループ に属します。1 インスタンスに複数のグループを作れます
  • 1 グループに最大 2 つのエージェント を置けます。冗長化するときは別ホストに 2 つ目を入れます(1 ホストに複数のエージェントを置くことは非推奨)
  • 接続(アクセス方式で接続エージェントを選んだもの)にエージェント・グループを関連付けます
  • ホストのメモリは最低 8GB(エージェントの JVM ヒープ 4GB)です
  1. OIC でエージェント・グループを作成します
  2. OIC の Agents ページからオンプレミス・エージェントのインストーラをダウンロードします
  3. 社内ホストに展開し、設定ファイル(InstallerProfile.cfg)に OIC のインスタンス URL、エージェント・グループの識別子、OAuth の資格情報を設定します
  4. エージェントを起動し、Agents ページでグループに登録されたことを確認します
  5. 接続のアクセス方式でエージェント・グループを指定し、テストします

ネットワーク要件(OCI のサービス・ゲートウェイ/NAT ゲートウェイの要否、プロキシ)や設定項目はリリースにより異なるため、公式の「Install the Connectivity Agent」で確認してください。

プライベート・エンドポイントとの違い

Section titled “プライベート・エンドポイントとの違い”
観点 接続エージェント プライベート・エンドポイント
接続先 オンプレミス・他クラウドの閉域網 OCI の VCN のプライベート・サブネット内のリソース
必要なもの 社内ホストへのエージェント導入 OIC インスタンスへのプライベート・エンドポイント設定
通信 エージェントからの外向き通信(プル型) OIC から VCN へ直接

REST トリガーの統合を、外部システムから OAuth Client Credentials で呼び出す例です。トークンは OIC と連携する IAM ドメインの機密アプリケーション(confidential application)から取得します。URL とスコープはプレースホルダです。

外部システムから OIC の REST トリガーを呼ぶ(OAuth Client Credentials)
# 資格情報は環境変数から読む(コードに直書きしない)
TOKEN=$(curl -s -u "$OIC_CLIENT_ID:$OIC_CLIENT_SECRET" \
-d "grant_type=client_credentials" \
--data-urlencode "scope=$OIC_SCOPE" \
"https://<your-identity-domain>.identity.oraclecloud.com/oauth2/v1/token" \
| python3 -c 'import sys, json; print(json.load(sys.stdin)["access_token"])')
# エンドポイント URL は、統合の詳細や REST アダプタの Summary ページのサンプル cURL で確認する
curl -s -X POST "$OIC_ENDPOINT_URL" \
-H "Authorization: Bearer $TOKEN" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"invoiceNumber":"INV-2026-0001","amount":110000}'

実務では次の拡張を加えます。

  • トークンを有効期限まで再利用し、401 のときだけ取り直す
  • 429・503 などの一時的なエラーは間隔を空けてリトライし、400 系の業務エラーはリトライしない
  • 非同期の統合は受付の応答(202 など)だけが返るため、結果は監視画面か別の通知で確認する

落とし穴とベストプラクティス

Section titled “落とし穴とベストプラクティス”
  • 接続は環境ごとに作り直す前提で、名前と識別子を全環境でそろえます(移送後に接続だけ差し替えられるようにするため)
  • Fusion 向けの統合ユーザーは、人の利用者と分けた専用ユーザーにします
  • 大量データの取込は REST の繰返し呼出しではなく FBDI を使います。判断基準は データ移行・インポート手段の全体像と選び方 を参照してください
  • 対応する試験:OIC 模擬テスト(1Z0-1042-26) の「接続とアダプタの利用(Using OIC Connections and Adapters)」(分野名は当サイト独自の区分で暫定です。公式の出題範囲は受験前に確認してください)
  • トリガー接続と呼出し接続の違い、接続のロール
  • REST アダプタのトリガー/呼出しのセキュリティ・ポリシー(OAuth Client Credentials、Basic 認証、API キーなど)
  • 接続エージェント:外向き通信のみ、エージェント・グループ、1 グループ最大 2 エージェント、File アダプタはエージェント必須
  • プライベート・エンドポイントと接続エージェントの使い分け
  • ERP Cloud アダプタ:トリガーの3種類、呼出しの3種類、FBDI のコールバック、ビジネスイベントのフィルター

本サイトは学習目的で個人が作成した非公式の教材であり、Oracle Corporation およびその関連会社とは関係ありません。内容の正確性は保証しません。最新の仕様・試験範囲は必ず公式ドキュメントと Oracle University の情報で確認してください。

模擬テストの問題は公開されている出題範囲(Exam Topics)と公式ドキュメントをもとに独自に作成したもので、実際の試験問題ではありません。

Oracle、Java、MySQL は Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。その他の製品名・会社名は各社の商標です。

© 2026 Fusion ERP 実装ラボ