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在庫組織と品目

在庫管理で使う組織とマスタは、次の階層でつながっています。

法的エンティティ(在庫の所有者・主要元帳)
└ 管理 BU(Materials Management 業務機能を有効化)
└ 在庫組織(倉庫・工場・物流センター)… 組織パラメータ・施設スケジュール
└ 保管場所(サブインベントリ)… 保管用/受入用
└ ロケータ(棚番:列・ラック・ビン など)
品目マスタ組織(品目定義を一元管理)
└ 子組織(在庫組織・品目組織)へ品目を割り当て
原価組織(1 つ以上の在庫組織を束ねて原価計算)… 原価帳簿(主要/副次)

公式ドキュメントでは、保管施設・倉庫・物流センターはすべて在庫組織として実装すると説明されています。在庫組織には製造施設と保管施設の 2 種類があり、どちらも BU を介して他の組織とつながります(Guidelines for Using Inventory Organization)。

在庫組織の設定(組織パラメータ)

Section titled “在庫組織の設定(組織パラメータ)”
前提 内容 理由
施設スケジュール シフト → 稼働日パターン → スケジュールの順に作成 循環棚卸のスケジュールや輸送リードタイムの計算に稼働日カレンダーを使うため
管理 BU Materials Management 業務機能を有効化 この機能がない BU は在庫組織を管理できない
法的エンティティ BU と同じ主要元帳を持つ LE を割り当て 在庫の所有者は LE。取引はすべて LE の主要元帳で会計処理される
ロケーション 住所(ロケーション)を用意 同じ物理拠点を複数 BU で使う場合は同じロケーションを割り当てる

1 つの BU が複数の在庫組織を持てます。逆に、1 つの物流センターに複数 BU の在庫がある場合は、BU ごとに在庫組織を分け、同じロケーションを割り当てるのが公式の推奨です。

  1. 設定と保守(Setup and Maintenance)作業領域で、施設のシフト・稼働日パターン・スケジュールを作成します(施設向けのクイック・セットアップ(Quick Setup)も利用できます)
  2. タスク検索で Manage Inventory Organizations を開き、名前・組織コード・管理 BU(Management Business Unit)・法的エンティティを入力して作成します
  3. 続けて Manage Inventory Organization Parameters で組織パラメータを設定します(次の表)
  4. 在庫組織の追加は、既存組織のコピー(Copy Inventory Organizations)でも作成できます。組織コードを後から変えられるかは公式 FAQ(Can I change an inventory organization code?)で確認し、コード体系は最初に決めておきます

Inventory Organization Parameters の主な項目です(26C 時点)。

区分 パラメータ 意味・設計の観点
基本情報 Profit Center Business Unit 会社間の取引(トレード取引)の生成に使う。未設定だと原価処理でエラーになることがある
品目定義 Item Master Organization 品目を作成し他組織へ割り当てる組織。通常は全社で 1 つ
品目定義 Item Grouping Behavior 品目属性を自組織で持つ「定義組織」か、他組織の値を参照する「参照組織」か
在庫 Schedule / Time Zone 稼働・非稼働時間。スケジュールはタイムゾーン非依存で、倉庫ごとにタイムゾーンを持てる
在庫 Locator Control ロケータ管理なし/事前定義のみ/動的入力可/保管場所レベルで決定 の 4 択
在庫 Allow negative balances 在庫取引でマイナス残高を許すか。許可すると手持以上のピックも可能になる
在庫 Enable inventory tracking by project プロジェクト別在庫(プロジェクト・タスクを在庫に持たせる)
在庫 Use current item cost その他取引で現在の品目原価を既定にする
追加用途 Organization is a manufacturing plant など 製造工場・保守組織・受託製造業者として使うか
追加用途 Integrated System Type 倉庫実行を Oracle Inventory Management で行うか、WMS か、3PL か
移動要求 Pick Slip Batch Size など ピック・スリップの処理単位、補充移動要求のグルーピング
品目ソーシング Picking Rule / Subinventory Order / Locator Order 既定のピッキング規則と、保管場所・ロケータのピック優先順位
品目ソーシング Pick confirmation required ピック確認を手動で行うか(未選択なら自動確認)
品目ソーシング Type(Organization / Supplier / None) 補充元。最小最大計画などの補充先を社内組織にするか仕入先にするか
流通 Logistics services organization 物流サービス組織にする。原価計算されず、異なる荷主の出荷明細を同じ梱包単位にまとめられない

ロット・シリアル・梱包単位の組織パラメータ

Section titled “ロット・シリアル・梱包単位の組織パラメータ”
区分 選択肢 判断ポイント
ロット番号の一意性(Uniqueness) No uniqueness control/Unique across items 品目をまたいで同じロット番号を使わせない場合は Unique across items
ロット番号の採番(Generation) At item level/At organization level/User defined 組織レベル採番では接頭辞(Prefix)・桁数などを組織に設定
異なるロット・ステータスの許可 No/With exception/Yes 既存ロットへ別ステータスの数量を入れてよいか
子ロット(Child Lot) Parent/Parent and child 子ロットの採番方式
シリアルの一意性 Unique across organizations/within inventory items/within model and inventory items/within organization ATO の構成品でモデルのシリアルを共有したい場合は within model and inventory items
シリアルの採番 At item level/At organization level/User defined 組織レベルでは接頭辞と開始番号が必須
System Selects Serial Number No/Yes Yes にするとシリアル管理品目も自動ピック・リリースできる

保管場所(サブインベントリ)とロケータ

Section titled “保管場所(サブインベントリ)とロケータ”

保管場所は在庫組織の中の物理的・論理的な区画で、在庫組織ごとに最低 1 つ必要です(Subinventories)。

種類 用途 手持数量への反映
保管用(Storage) 倉庫で在庫を保管する 反映される
受入用(Receiving) 保管用に格納するまで一時的に置く 反映されない(必須ではない)

設計時の検討事項は次のとおりです(Considerations for Creating Subinventories and Locators)。

  1. 階層:倉庫の物理レイアウトに合わせて保管場所とロケータを作り、格納・ピッキングの動線と、保管場所・ロケータのピッキング順序(Picking Order)を決める
  2. 保管用と受入用の区別:受入用保管場所を使うかを決める
  3. 品目保管場所(Item Subinventory):品目と保管場所をひも付けるか。品目保管場所には在庫計画方法(Min-Max Planning/Supplier Managed/Not Planned)を設定でき、保管場所レベルの最小最大計画の単位になる
  4. ロケータ:動的作成を許すか、品目をロケータへ割り当てるか、粒度(列・ラック・ビン など)をどうするか

ロケータ管理は、組織パラメータの Locator Control で決めます。「保管場所レベルで決定」を選ぶと保管場所ごとに、さらに品目属性の Stock Locator Control(Dynamic entry/No control/Prespecified)で品目ごとに指定できます。

資材ステータス(Material Status)は保管場所・ロケータ・ロット・シリアルに割り当て、「どの取引タイプを許可/禁止するか」で在庫の使い方を制御します(詳細は 在庫取引 の「資材ステータスと可用性」)。保管場所やロケータが大量にある場合は、一括エクスポート/インポート(Bulk Export and Import of Subinventories and Locators)を使います。

組織 役割 在庫取引
品目マスタ組織 複数組織で共有する品目を一覧・定義する 通常は取引しない(取引組織と分ける)
在庫組織 品目定義に加え、在庫を保管・取引する できる
品目組織(Item Organization) 在庫残高を持たない組織で品目を定義する(小売店舗の取扱品目、販売カタログなど) できない(下流の財務取引にも使えない)

公式の推奨は次のとおりです(Item Master Organizations、Item Organizations)。

  • 品目マスタは1 つにするのが最も効率的。同じ形状・適合・機能(form, fit, function)の品目は品目マスタに 1 回だけ定義する
  • 品目マスタ組織は、品目を保管・取引する組織とは分ける
  • 複数の品目マスタも作れるが慎重に使う(買収直後の移行期間など)
  • 品目組織は、必要な属性を更新すれば在庫組織へ変換できる

マスタレベル管理と組織レベル管理

Section titled “マスタレベル管理と組織レベル管理”

品目の運用属性(Operational Attributes)は、属性グループごとにマスタ組織レベルで管理するか、組織レベルで管理するかを選びます。設定は設定と保守の Product Management オファリング > Items 機能領域 > Manage Operational Attributes Groups タスクです(Operational Attributes Controls)。

  • マスタレベル管理:マスタの値が全組織に適用される。全社でそろえたい属性に向く
  • 組織レベル管理:組織ごとに値を変えられる。最小最大数量や計画担当者など、拠点ごとに異なる属性に向く
  • どの属性をどちらにするか(既定の管理レベルを含む)は、実装時に Manage Operational Attributes Groups の画面で確認して決めます。ロット・シリアル管理のように「一部の工場だけで管理したい」属性は組織レベルが候補になります

組織パラメータの Item Grouping Behavior で「参照組織(Reference organization)」にした組織は、属性値を定義組織(Item Definition Organization)から引き継ぎます。同じ属性値の拠点が多い場合に、組織レベル属性の保守量を減らせます。

すべての品目は**品目クラス(Item Class)**の中で作成されます。品目クラスはルート品目クラスの下に階層で作り、上位の設定(属性グループ・データセキュリティ・ロール)を下位が継承します(Item Classes)。

  • 作成・保守:Product Management > Items > Manage Item Classes
  • 品目作成を禁止した分類専用のクラスも作れる(Item Creation Allowed を No にし、子クラスで許可)
  • 目安:クラス数は 1,000 以下、階層の深さは最大 15(多くの分類は 5 階層以内で足りる)。変更や新規品目要求の承認に BPM ルールを使う場合はクラス数を 300 以下に抑える
  • 上位クラスの変更は下位クラスへ自動で再デプロイされるため、属性グループは上位クラスに先に関連付けてから下位クラスを量産する

品目テンプレートは「属性値のセット」で、品目作成時に適用すると対応する属性へ値が入ります(Manage Item Templates)。

  • 品目クラスと組織ごとに定義し、子クラスへ継承される。作成場所は Manage Item Classes の品目クラスの Templates and Formats タブ
  • Default にしたテンプレートは、その組織で品目を作るときに自動適用される
  • 複数のテンプレートを順に適用でき、後から適用したテンプレートの値で上書きされる
  • テンプレートに値がない属性・空の属性は適用されない。テンプレートの値は検証されないため、矛盾した組み合わせも保存できてしまう
  • 品目ステータスはテンプレートに設定しない(ステータス値を上書きして不整合を起こすため)

在庫管理に関わる主要な品目属性

Section titled “在庫管理に関わる主要な品目属性”

Inventory Item Attributes から、実装で必ず決める属性を抜粋します。

グループ 属性 意味 注意点
資材管理 Inventory Item 在庫品目として保管・取引できる Stocked・Transaction Enabled の前提
資材管理 Stocked / Transaction Enabled 在庫保有可/取引可 Transaction Enabled は在庫・受入取引の発生後は変更不可
資材管理 Reservable / Revision Control 引当可/改訂管理 改訂管理品目は入出庫で改訂番号が必須
ロット Control No control/Full control 手持数量がないときだけ変更可
ロット有効期限 Control / Shelf Life Days Shelf life days/No control/User-defined 保存期間日数も手持数量がないときだけ設定可
シリアル Generation 受入時・出庫時・ピック時の入力、事前定義、管理なし ペンディング取引があると変更不可
循環棚卸 Cycle Count Enabled / Positive・Negative Measurement Error 棚卸対象か/許容誤差(%) 有効にしないと循環棚卸に表示されない
ステータス Lot Status Enabled / Serial Status Enabled ロット・シリアル単位の資材ステータス ロット管理(Full control)・シリアル管理が前提
ロケータ Restrict Subinventory / Restrict Locators / Stock Locator Control 取引可能な保管場所・ロケータの制限、ロケータ管理 Restrict Locators には Restrict Subinventory が必要

シリアル生成(Generation)の選択肢は、Dynamic entry at inventory receipt(受入時に作成)、Entry at sales order, transfer order or work order issue(出庫時に作成)、Entry at inventory pick(ピック確認時に作成)、Predefined serial number(事前定義)、No serial number control の 5 つです。ロット・シリアル運用の詳細は 受入と出荷・ロット/シリアル管理 で扱います。

単位(UOM)は必ず単位クラスに属し、各クラスには**基準単位(Base UOM)が 1 つあります。基準単位はクラス内の最小単位にします。品目で最もよく使う単位は基本単位(Primary UOM)**で、基準単位と同じとは限りません(How Units of Measure, Unit of Measure Classes, and Base Units of Measure Relate to Each Other)。

換算の種類 内容 例
標準換算(Standard) 単位とクラスの基準単位の換算(全品目共通) 1 ダース = 12 個
クラス内換算(Intraclass) 品目ごとに、ある単位と同じクラスの基準単位を換算 水 1 ケース(CS)= 24 本(EA)
クラス間換算(Interclass) 品目ごとに、異なるクラスの基準単位どうしを換算 ガソリン 158.76 リットル = 1 バレル
  • 品目別換算(クラス内・クラス間)が定義されていない場合に限り、標準換算が使われます(Standard Conversions for Units of Measure)
  • 作成順序は「単位 → 品目 → 品目別換算」です。単位は品目より先に、品目別換算は品目の作成後に定義します
  • 基本単位として使う単位には標準換算が必要です
  • 組織間移動では、移動元と移動先で品目の単位をそろえる必要があります
  • 重量と個数など 2 つの単位で数量を持つ場合は、二重単位(Dual Units of Measure)を使います。二重単位管理の品目では、取引や照会で副単位の数量(Secondary Quantity)も扱います

在庫組織は1 つの原価組織にだけ割り当てられます。原価組織は 1 つ以上の在庫組織を束ねますが、束ねる在庫組織は同じ法的エンティティ(同じ利益センター BU)に属している必要があります。原価組織には主要原価帳簿(Primary Cost Book)が必ず 1 つあり、LE の主要元帳と関連付けます(How Cost Organizations, Inventory Organizations, and Cost Books Fit Together)。原価方式や評価単位の設計は 原価管理の全体像 を参照してください。

  1. エンタープライズ構造:LE・主要元帳・BU(Materials Management を有効化)・参照データセット
  2. ロケーション、施設スケジュール(シフト → 稼働日パターン → スケジュール)
  3. 品目マスタ組織(通常は品目組織として作成)
  4. 在庫組織と組織パラメータ(品目マスタ組織・スケジュール・ロケータ管理・ロット/シリアル採番)
  5. 資材ステータス → 保管場所 → ロケータ(列・ラック・ビンなど棚番の粒度を先に決める)
  6. 単位クラス・単位・標準換算
  7. 品目クラス・テンプレート・運用属性の管理レベル → 品目 → 品目の組織割当 → 品目別単位換算
  8. 原価組織・原価帳簿(原価管理)、組織間パラメータ(組織間移動を行う場合)

実装リファレンス(組織・品目)

Section titled “実装リファレンス(組織・品目)”
対象 タスク(設定と保守) 補足
在庫組織 Manage Inventory Organizations 作成後に組織パラメータを設定
組織パラメータ Manage Inventory Organization Parameters General/Lot, Serial Number, and Packing Unit/Item Sourcing Details
品目クラス・テンプレート Manage Item Classes テンプレートは Templates and Formats タブ
属性の管理レベル Manage Operational Attributes Groups マスタレベル/組織レベル
組織間移動の関係 Manage Interorganization Parameters 移動元 → 移動先の一方向ごとに定義

品目は FBDI の Item テンプレートで移行します(File-Based Data Import for SCM:Item)。

項目 値(26C)
テンプレート ItemImportTemplate.xlsm
UCM アカウント scm/item/import
主なインターフェース表 EGP_SYSTEM_ITEMS_INTERFACE(品目)、EGP_ITEM_REVISIONS_INTERFACE(改訂)、EGP_ITEM_CATEGORIES_INTERFACE(カテゴリ)、EGO_ITEM_INTF_EFF_B(拡張フレックスフィールド)
取込ジョブ Item Import(スケジュール済プロセス。FBDI ガイドでは Item Import とも表記)
品目移行の流れ(例)
1. 品目マスタ組織の行を作成(品目クラス・テンプレート・基本単位)
2. 子組織への割当行を作成(組織レベル属性の値を含める)
3. CSV を作成 → UCM(scm/item/import)へアップロード
4. Load Interface File for Import → Item Import を実行
5. エラー行を修正して再実行 → 件数・主要属性を照合

FBDI の共通手順(CSV 生成・UCM・ジョブ実行)は FBDI の仕組みと手順 を参照してください。品目別単位換算は品目の作成後に移行します。

落とし穴とベストプラクティス

Section titled “落とし穴とベストプラクティス”
  • 組織コード・保管場所コードの命名規則(拠点・用途・温度帯など)を最初に決め、帳票や連携の条件にも使えるようにする
  • 組織レベル属性の多い品目は、参照組織(Item Grouping Behavior)やテンプレートで保守量を減らす
  • 移行は「組織・保管場所 → 品目 → 換算 → 在庫残高」の順にし、各段階で件数と属性値を照合する
  • 対応する試験:在庫 模擬テスト の「エンタープライズ構造の実装」「在庫管理の実装」
  • 在庫組織は 1 つの BU・1 つの LE・1 つの主要元帳。BU には Materials Management 業務機能が必要
  • 施設スケジュールは在庫組織より先に作る(循環棚卸のスケジュール・輸送時間に使う)
  • 品目組織は在庫を持てない。品目マスタは 1 つが推奨、取引組織とは分ける
  • ロケータ管理の 4 つの選択肢と、品目属性 Stock Locator Control の 3 つの選択肢
  • 物流サービス組織は原価計算されない
  • 標準換算は品目別換算がない場合にだけ使われる。クラス内換算=基準単位との換算、クラス間換算=クラスの基準単位どうしの換算
  • 在庫組織は 1 つの原価組織にしか属せない

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