連結処理(換算・消去・持分・連結仕訳)
各タブには、システムが必ず走らせる計算と、カスタムルールを差し込める挿入点があります。挿入点は Calculation Manager の標準ルール(FCCS_10_… 〜 FCCS_60_…)です。
| タブ | 処理の順序 | カスタムの挿入点 |
|---|---|---|
| Local Currency | Opening Balance Carry Forward → Calculate Movements(有効時)→ After Opening Balance Carry Forward → Equity Pickup(有効時)→ Balance the Balance Sheet(任意)→ Final Calculations → Ratios | FCCS_10_After Opening Balance Carry Forward_LocalCurrency、FCCS_20_Final Calculations_LocalCurrency |
| Translated(多通貨のみ) | Opening Balance Carry Forward → Default Translation → Translation Overrides → Before FX Calculations → FX Calculations → FX to CTA → Calculate Movements(Parent Input 有効時)→ After Opening Balance Carry Forward → Final Calculations → Ratios | FCCS_30_After Opening Balance Carry Forward_Translated、FCCS_40_Final Calculations_Translated(ほか Before FX Calculations) |
| Consolidated | Opening Balance Carry Forward → Proportionalization → Standard Eliminations → Opening Balance Ownership Change(OBOC)→ Configurable Consolidations → Calculate Movements(Contribution Input 有効時)→ After Opening Balance Carry Forward → Final Calculations → Ratios | FCCS_50_After Opening Balance Carry Forward_Consolidated、FCCS_60_Final Calculations_Consolidated |
- Balance the Balance Sheet(Scenario ごとの任意設定)は、貸借の不一致額を標準勘定
FCCS_Balanceに計上します。 - Equity Pickup は、有効にしたときだけ走り、ホールディングを子会社より後に計算します。Equity Pickup 用の連結ルールのデプロイが必要です。
Consolidation ディメンションのメンバー
Section titled “Consolidation ディメンションのメンバー”「共通データ」は Entity Currency で持ち、親子の組合せに依存しません。「ノードデータ」は親と子の組合せごとに、親通貨だけで持ちます(共有インスタンスは組合せごとに別のデータ)。
| 区分 | メンバー | 内容 |
|---|---|---|
| 共通 | Entity Input、Translated Currency Input(任意) | 個別データの入力。後者は入力通貨での入力 |
| 共通 | Entity Consolidation(親のみ) | 子の Contribution の合計 |
| 共通 | Entity Proportion/Elimination/Total Adjustment(親のみ) | 共有インスタンスの合流で累積の連結比率が変わるときの調整(Ownership Management で作られる) |
| 共通 | Entity Total | Entity Input、Translated Currency Input、上の調整、Entity Consolidation の合計 |
| ノード | Parent Input(任意)、Parent Total | 親通貨での入力(按分に含まれる)と、Entity Total との合計 |
| ノード | Proportion | Entity Total(または Parent Total)を連結比率で按分した値。親子の関係ごとに 1 つ |
| ノード | Elimination | 親子の組合せごとの消去・連結調整 |
| ノード | Contribution | 1 つの子が 1 つの親に寄与する連結後の値(Proportion と Elimination の合計) |
| ノード | Contribution Input(任意)、Contribution Total | 按分の後に親通貨で入れる入力と、Contribution との合計 |
| ノード | Rate Override、Amount Override | 多通貨アプリケーションで、上書きレート・上書き金額を入れる |
任意のメンバーは Enable Features でしか追加できず、追加後は削除できません。Ownership Management を有効にすると、Entity Total の下に 3 つの調整メンバーが作られ、当期純利益(Net Income)の行は Owner’s Income として扱われます。直接入力できるのは Entity Input、Translated Currency Input、Parent Input、Contribution Input、Rate Override、Amount Override で、それ以外は計算で作られます。
換算(Translation)
Section titled “換算(Translation)”換算は多通貨アプリケーションの Translated タブで行います(単一通貨にはこのタブがありません)。
- 期首:Opening Balance は換算せず、前期の換算後の期末残高(親通貨)を繰り越します。
- Default Translation:期間の変動(Movement)に既定の換算設定を適用します。設定は Translation Overrides 画面の Manage Defaults です。Rate Override・Amount Override の入力もここで使われます。
- Translation Overrides:既定の結果を置き換える、または積み上げる上書きルールです。作成してデプロイします。
- FX 計算:為替の影響を
FCCS_Mvmts_FX_OpeningとFCCS_Mvmts_FX_Movementに出します。FX Opening は、総期首残高を当期の期末レートで換算した額と、前期の換算後の期首調整との差です。FX Movements は、換算前の変動小計を期末レートで換算した額と、平均・ヒストリカル・上書きレートで換算済みの変動小計との差です。 - FX to CTA:ヒストリカル勘定の為替影響を相殺し、同額を CTA/CICTA の勘定へ入れます。
| 勘定 | 換算 | 為替の影響 |
|---|---|---|
| 通常の資産・負債 | 期末レートで期首と変動を換算 | FX Opening・FX Movement に出る |
| Historical、Historical Rate Override、Historical Amount Override | 期間の変動を平均・ヒストリカル・上書きで換算し、期末残高は変動の加重累計 | CTA/CICTA に振り替わる |
| 損益(Net Income・Total Comprehensive Income の階層) | ヒストリカル扱いで平均レート換算(為替レートタイプの属性は無視) | CTA/CICTA |
FCCS_FXのメンバーは計算専用です。仕訳を直接入れてはいけません。- 貸借対照表全体で、FX to CTA と FX to CICTA の合計(最上位の貸借対照表勘定で見る)は 0 になります。
- レートの入力は公式の About Exchange Rates などを、GL 側の換算は 期間締め を参照してください。
会社間消去(Intercompany Eliminations)
Section titled “会社間消去(Intercompany Eliminations)”消去は、同一支配下の会社間取引の影響を取り除き、グループを 1 つの経済単位として見せる処理です。連結の計算の中で走りますが、アプリケーションで Intercompany 勘定が有効で、Intercompany 勘定にデータがあるときだけ働きます。
対象になる条件(フラットな構造):
- 勘定が Intercompany 勘定で、有効な Plug(清算)勘定が割り当てられている。
- Intercompany ディメンションが
FCCS_No Intercompany以外(取引相手がいる)。 - 自社と取引相手の両方が、親に 0% を超える比率で連結されている。
多階層の構造では、自社と取引相手が**共通の親(祖先)**の下にいればよく、取引相手が兄弟か兄弟の子孫であることが追加の条件です。累積の連結比率は階層ごとの比率の積で求めます。自社と取引相手が同一のデータも消去対象にしたいときは、置換変数 StrictElimCondition を作成して False にします。
消去額と作られるデータ:
- 消去額は「共通に支配している額」です。両者が 100% なら全額、どちらかが 100% 未満なら比率の低い側の按分後の額を消去します。按分後の額を超えては消去されず、どちらかの連結比率が 0% なら消去されません。
- Elimination メンバーの
FCCS_Intercompany Eliminations(Data Source)に 2 本のエントリを作ります。元の金額を全部または一部反転する反転エントリと、それを相殺して Plug 勘定に計上する Plug エントリです。Plug 勘定が Intercompany 勘定でなければ、Plug エントリの Intercompany はFCCS_No Intercompanyになります。 - 「ほぼゼロ」の判定は、既定で小数 4 桁(0.0001 未満をゼロとみなす)です。置換変数
DecimalPrecision(All Cubes、整数)で変えられ、負の値は 10 の倍数への丸めです。
持分・所有権管理(Ownership Management)
Section titled “持分・所有権管理(Ownership Management)”持分比率と連結方法は、Entity の親子の組合せ × Scenario × Year × Period ごとに持ちます。画面は、ホーム > アプリケーション > Consolidation > Manage Ownership です。
| 方法 | 持分比率の目安 | 支配 | 連結比率 | 非支配持分 |
|---|---|---|---|---|
| Holding | 100% | あり | 100% | — |
| Subsidiary | 50% 超〜100% | あり | 100% | 100% − 持分比率 |
| Proportional | 持分はあるが支配なし(共同支配など) | なし | 持分比率と同じ | — |
| Equity | 20%〜50% | なし | 0% | 0% |
| Not Consolidated | 0%〜20% | なし | 0% | 0% |
ほかに、Enhanced Organization by Period と組み合わせて階層の切れ目を作る Inactive と、将来用に予約された Discontinued があります。例:持分 80% の Subsidiary は連結比率 100%・非支配持分 20%、持分 40% の Proportional は連結比率 40%、持分 30% の Equity は連結比率 0% です。
- Holding はレベル 0 のエンティティだけに、共有インスタンスのうち 1 か所にだけ付けます。複数に付けると、トップからの連結でデータが二重になることがあります。
- 各方法には持分比率の範囲を設定でき、システムは持分比率に応じて方法を自動で割り当てます(範囲は 0〜100% を途切れなく覆う必要があります)。範囲のない方法は自動では割り当てられませんが、手動で選んで上書きできます。最初から範囲を持つのは Not Consolidated(20% 以下)、Subsidiary(50% 超〜100%。Enhanced Organization by Period が無効の場合)、Inactive(0%。同機能が有効の場合)で、Holding・Equity・Proportional は範囲の設定か手動の選択が必要です。
- 運用:変更できるのは Unlocked のエンティティだけです。メタデータ・連結方法の構成・移行インポートのファイルが変わったときは再計算(Recompute)します(Recompute Now、Auto Recompute Job Consolidation の設定、Actions メニュー)。前年度の最後の期間に持分が変わったときは、翌年度へのコピー(Copy Now など)が必要になることがあります。Observations 画面が、注意が必要な変更を自動で挙げます。
期首の持分変動(OBOC)
Section titled “期首の持分変動(OBOC)”連結比率が前期から変わると、Consolidated タブの OBOC が、比率の変化 × 期首残高を FCCS_Mvmts_Acquisitions または FCCS_Mvmts_Disposals として Proportion に自動計算します。Plug 勘定で消去する勘定は Elimination にも自動で作られますが、独自ルールで消去している勘定は、FCCS_Mvmts_Disposals_Input・FCCS_Mvmts_Acquisitions_Input に調整を自分で書きます。OBOC は既定で構成可能な連結ルールより前に走り、順序は置換変数 OBOC_BEFORE_CONFIG_CONSOL を False にして変えます。Equity Pickup の作り方は、公式のチュートリアル(Configuring Equity Pickup Rules)を参照してください。日本基準の持分法の細則(のれん償却、未実現損益の消去など)をどこまで扱えるかは、公式で確認します。
連結仕訳と調整
Section titled “連結仕訳と調整”親会社側の調整は、入力するメンバーで性質が変わります。
| 入力先 | 通貨 | 按分との関係 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| Entity Input | 個別(Entity Currency) | 按分される | 個別の修正(例:会計基準の差異調整) |
| Parent Input | 親通貨 | 按分に含まれる | 親から見た子の調整 |
| Contribution Input | 親通貨 | 按分の後 | 持分に左右されず全額を入れたい連結調整 |
- Parent Input と Contribution Input は任意のメンバーで、Enable Features で有効にします。有効なときは、Parent Input では Translated タブ、Contribution Input では Consolidated タブで Calculate Movements が走ります。
- 連結仕訳(Consolidation Journals)は、ベース・レベルの Entity に入力・ロードされたデータへの調整で、「どのユーザーが、どの勘定・Entity・期間を調整したか」の監査証跡を残します。借方・貸方の 2 面の仕訳で、通常は貸借を一致させますが、Enable Features で Unbalanced Journals を選ぶと貸借不一致の仕訳も作れます(カスタム・ルールやデータロードで相手勘定が作られる場合など)。期間をまたぐ繰り返し仕訳(Recurring)と、翌期に自動で反対仕訳を作る自動反転仕訳(Auto-reversing)があり、機能は環境の構成時に有効にしておく必要があります。承認ワークフローは、管理者が任意で有効にします。
- 仕訳のステータスは Working(作成・保存済みで未完成の可能性あり)→ Completed(作成者が Complete を実行。ロール Consolidation Journals - Create が必要)→ Submitted(承認依頼中)→ Approved(転記可)→ Posted(調整がデータベースに転記済み)です。却下すると Working に戻ります(Approved の仕訳は却下か転記のみ可能)。公式の目次には Unposting(転記の取消し)の節もあります。
- 仕訳の入力先メンバー、期間別(Periodic)・累計(YTD)・仕訳累計(Journal-to-date)の違いは、公式の仕訳の章(Working with Consolidation Journals)で確認してください。ほかに、Enterprise Journals を使って ERP などへ仕訳を転記する機能(Post の状態や exportEJJournals・setEJJournalStatus を使う運用)が別にあります。
- 投資と資本の相殺など独自の連結は、構成可能な連結ルール(Configurable Consolidation Rules)か、挿入点のカスタムルールで作ります。標準の消去ルールの範囲は、公式の Standard Elimination Consolidation Rules で確認します。
キャッシュフロー計算書
Section titled “キャッシュフロー計算書”公式は、勘定と Movement メンバーの組合せで「どのような切り口の報告も作れる」としています。設計の考え方としては、キャッシュフロー計算書も、貸借対照表の勘定の増減を Movement メンバー別(要因別)に集めて作ります。
- Movement の主なメンバーは、
FCCS_TotalOpeningBalance(期首。当期に入れた前期調整を含む)、FCCS_Mvmts_Total(当期の変動。為替計算の純額を含む)、FCCS_ClosingBalance(期末の累計残高)です。 - 為替の影響は
FCCS_Mvmts_FX_…、持分の変動は Acquisitions・Disposals のメンバーに分かれるので、「換算差額の影響」「連結範囲の変動」を別行にする材料になります。 - 子会社が期末残高だけを提出する場合、Calculate Movements が、期末残高の入力と(期首+既存の変動)の差を指定の Movement メンバーに計上します。
- キャッシュフロー専用のメンバーや標準のレポート定義、営業・投資・財務の区分への割当手順は、公式ガイドで確認してください(このページでは確認できていません)。
計算例(架空)
Section titled “計算例(架空)”親会社(連結比率 100%)が、共同支配会社(Proportional・持分 40%)へ 200 を販売した場合です。親会社側の按分後の額は 200、相手側は 200 × 40% = 80 なので、低い側の 80 が消去されます。
Intercompany 消去(Plug 勘定を使う標準の消去) 反転エントリ : 元の Intercompany 勘定を 80 だけ反転 [FCCS_Intercompany Eliminations] Plug エントリ: 勘定のメタデータで決めた Plug 勘定に 80 を計上 [相殺。Plug が Intercompany 勘定でなければ FCCS_No Intercompany]設定・実装の手順
Section titled “設定・実装の手順”- 機能:Ownership Management、Parent Input、Contribution Input など、必要な機能を Enable Features で有効にします(追加したメンバーは削除できません)。
- 勘定の属性:為替レートタイプ、Intercompany 勘定と Plug 勘定を設定します。
- 為替:レートを入力し、Manage Defaults で既定の換算を設定します。例外は上書きルールで作ります。
- 持分:Manage Ownership で親子ごとの持分比率と連結方法を設定し、Recompute します。
- ルール:Equity Pickup、構成可能な連結ルール、挿入点のカスタムルールを作ってデプロイし、Consolidation: Process で各タブの結果を確認します。
落とし穴とベストプラクティス
Section titled “落とし穴とベストプラクティス”- 取込前に Intercompany の差異を解消し、消去後の差異はほぼゼロにする運用にします。
- 為替レートタイプの方針(損益は平均、資本はヒストリカルなど)を、会計方針として先に決めます。
試験対策ポイント
Section titled “試験対策ポイント”- 対応分野:FCC 模擬テスト の「通貨換算」「連結処理と計算の流れ」「持分管理と会社間消去」
- 3 タブとルールの順序、挿入点(
FCCS_10_…〜FCCS_60_…)。 - Consolidation ディメンションの各メンバーの意味と、入力できるメンバー。
- 換算:期首を換算しない、FX Opening/FX Movement、CTA/CICTA、ヒストリカル勘定の扱い。
- 消去:Plug 勘定、共通の親、消去額(低い側)、
FCCS_Intercompany Eliminations、DecimalPrecision。 - 連結方法と連結比率・非支配持分、Holding の制約、OBOC。
公式ドキュメント
Section titled “公式ドキュメント”- Consolidation Process Flow
- Consolidation Dimension
- Intercompany Eliminations
- Managing Ownership
- Managing Consolidation Methods
- Financial Consolidation and Close Data Model Overview
- Translation Process
- Standard Elimination Consolidation Rules
- About Configurable Consolidation Rules
- Configuring Equity Pickup Rules in Financial Consolidation and Close
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