コンテンツにスキップ

勘定照合(ARCS):照合コンプライアンスとトランザクション・マッチング

ARCS は、勘定残高の照合を「誰が・いつ・どの方法で確認し、誰が承認したか」まで管理します。R2R では、ERP の期間をクローズして残高を確定した後、FCC の連結の前に置きます(R2R)。Fusion にも AP・AR と GL の照合インフォレット、会社間の照合、銀行照合(CM)がありますが、どれも特定領域の突合です。ARCS は、全社の勘定を同じ方式とワークフローで統制します(期間締め)。

機能 照合の対象 照合の単位 向く勘定
Reconciliation Compliance 勘定の残高(正しさを証明して承認する) プロファイルから期間ごとに作る照合 貸借対照表の各勘定
Transaction Matching 取引の明細(データソース間の突合、または 1 つの内部で相殺) マッチタイプと勘定(Account ID) 公式の例:会社間、銀行、売掛金、買掛金、清算勘定

2 つの連携の仕組みは、公式の「About Integrating Transaction Matching with Reconciliation Compliance」で確認してください。

使用する組織(ARCS ではアプリケーション構造)

Section titled “使用する組織(ARCS ではアプリケーション構造)”

ARCS には、法的エンティティ・BU・元帳の設定がありません。ERP の組織は、勘定の識別子(Account ID)と組織単位(Organizational Units)に対応づけます。設定は Home > Application > Configuration で行います。

要素 内容 設計の考え方
Profile Segments Account ID を作る要素 COA のセグメント(会社・勘定科目など)に合わせる。残高の割当は決めない
Organizational Units 階層。フィルタ・レポート・休日ルールの単位 法的エンティティ、拠点、担当チームなど
Calendars・Holiday Rules・Periods 期間の日付(開始・終了・クローズ)と頻度、休日 会計期間と祝日に合わせる
Security Filters アカウントのセグメントへの権限 担当する会社・勘定の範囲
Settings(System Settings) コメント削除の許可、リストの最大行数、一括更新の許可、残高取込のタイムアウトなど システム全体の動作。最初に決める

Format は、3 つの Method のどれかに基づきます。管理者が標準ライブラリから選ぶか、ゼロから作ります。

Method 使う勘定 証明の中身
Balance Comparison 別の資料で残高を確認できる勘定(補助元帳、銀行明細など) Source System Balance と Subsystem Balance を比べ、差額(Difference)を System Adjustments・Subsystem Adjustments で説明する
Account Analysis 比べる元がない勘定(前払費用、未払費用、引当金など) 残高の構成項目を Explained Balance に並べ、Adjustments で Unexplained Difference を 0 にする
Variance Analysis 期間ごとの変動を監視したい勘定 Current Period Balance と Variance Period Balance(前月など)を比べ、しきい値を超えた変動に Variance Explanations をつける。Unexplained Difference は、Current Period Balance から Variance Period Balance と Variance Explanations を引いた額

標準ライブラリには、Prepaid Expenses(Account Analysis)や Bank Reconciliation(Balance Comparison)などのサンプルがあります(一部はサンプル・アプリケーションのみ。一覧は公式で確認)。

Profile は照合の設計図で、Power User も追加・保守できます。照合は、Profile の頻度(Frequency)と Period の頻度が一致したときだけ作られます。四半期の Profile を使うなら、四半期末の Period にも四半期の頻度を割り当てます。Attributes(管理者が定義するカスタム属性)は、Profile には管理者と Power User が、Format には管理者が割り当てます。Profile の項目(Format、Risk Rating、担当者など)の画面名は、公式の Profiles の章で確認してください。

  • Data Sources:照合する明細です。Source System と Sub System の 2 種類で、列(属性)と整形用の計算属性を定義します。2 つの間で未照合を探すか、1 つの内部で相殺します。
  • Match Types:管理者が作ります。データ構造と照合ルールを定め、その型を使う勘定の照合方法を決めます。銀行、会社間など種類ごとに作ります。
  • タイミング:日次照合・日次確定、日次照合・月次確定、月次照合・月次確定の 3 パターンです。
  • Rules:Match Process の Auto Match Rules と Manual Match で設定します。日付と金額の許容差、自動調整が使えます。
ルールの種類 基準の取引 照合の条件
1 to 1 Source System Source 1 件ごとに Sub System の候補を探す。日付の範囲(例:0〜+3 日)や金額の許容差が使える
1 to Many Source System Sub System の複数取引の合計が一致する。Balancing Attribute(既定は Amount)とルール条件を 1 つ定義する
Many to 1 Sub System 1 to Many の逆
Many to Many なし 両側の合計が一致する。Match Exactly の条件が最低 1 つ必要

ルール条件(Rule Conditions)は、Source System と Sub System のどの属性を組にして照合するか、完全一致か許容差を認めるかを決める定義で、複数の Match Process のルールで使い回せます。グループ属性を持つデータソースでは、そのメンバー属性を条件に使えます。データソースが 1 つの照合(Account Analysis との組合せ)では、1+ to 1- のように、プラスの取引とマイナスの取引を突き合わせます。ルールの評価順の指定(優先順位の画面操作)、No Ambiguous の動作、Group By、Adjustments の詳細は、確認できた公式ページに記載がないため、公式のガイドで確認してください。

エンジンの動きと制約です(公式)。

  • Transaction ID が小さい順(読み込み順)に評価し、最初に条件を満たしたものを照合します(First One Matching Wins)。
  • 許容差は、範囲・割合・割合+上限額の 3 方式です。割合は Number・Integer 型の属性だけで、High・Low とも 100(%)を超えられません。許容差は基準の Source 側に設定します。
  • 日付の許容差は範囲か特定日です。Use Business Calendar で週末・祝日を除けます(手動照合では不可。組織単位の休日ルールが前提)。
  • 部分一致は Matches with Contains です(Many to Many with Subset では不可)。データソースが 1 つのときは、プラスの取引とマイナスの取引を突き合わせます。

Reconciliation Compliance(月次)の流れです。

  1. 準備:管理者が Period を作ってオープンし、頻度の合う Profile から照合を作ります。通貨レートを取り込みます。
  2. 残高の取込:GL・補助元帳・銀行の残高を、Balance Load Template(Data Management)か pre-mapped ファイルで取り込みます。
  3. 作成(Preparer):Format の方式で残高の正しさを示します。調整項目、残高の説明、添付、コメントを入力して提出します。
  4. 承認(Reviewer):1 つの照合に複数の Reviewer を置けます。承認の頻度は、月次・四半期・リスク条件による動的承認から選べます。Commentator はコメントを付けます。
  5. 締め:照合の完了後に Period をクローズ・ロックします。残高を取り直すときは、管理者が期間を再オープンします。
  6. 証跡と報告:コメント・添付・承認の記録が証跡です。レポートとダッシュボードは公式で確認してください。

Transaction Matching は、①管理者が Data Source・Match Type・ルールを作る、②取引を取り込む(取込の直後に Auto Match を続けて実行できる)、③Auto Match で自動照合し、残りを Manual Match や調整で処理する、④古い照合済みの取引をアーカイブ・削除する、の流れです。

日本企業の月次の例です(架空)。営業日 3 に ERP を締め、4 に残高と銀行明細を取り込んで自動照合、5〜6 に Preparer が提出、7 に Reviewer が承認、8 に Period をクローズして FCC の連結へ進みます。

マスタ 内容 作成場所・UI 移行・取込手段
System Attributes・Attributes Profile Segments、Process、Risk Ratings、Frequencies、Account Type、Aging Profiles、Global Integration Tokens。カスタム属性 Configuration 画面入力。リスト・グループ属性の値は importRCAttributeValues・importTMAttributeValues
Currencies Currency Rates、Currency Buckets、Rate Types Configuration importRates
Organizations・Periods Calendars、Holiday Rules、Organizational Units、Periods Configuration 画面入力。期間の状態は setPeriodStatus
Formats 3 つの Method のいずれか Configuration 画面入力
Balance Load Templates Data Management の取込テンプレートとマッピングルール Configuration 実行は importBalances
Profiles 照合の定義 プロファイルの画面(画面名は公式で確認) importProfiles(CSV)
Data Sources・Match Types Transaction Matching のデータ構造とルール 管理者(画面名は公式で確認) 画面入力
Security Filters・ユーザー 権限と担当範囲 Service Administrator が作成して割当 画面入力

作成順序(設計上の整理):System Attributes・Settings → Currencies → Organizations → Periods → Attributes → Formats → Balance Load Templates → Profiles → 照合の作成 → 残高の取込。Period の頻度を先に決め、Profile の頻度を合わせます。Transaction Matching は Data Sources → Match Types → 取引の取込の順です。

連携 タイミング データ 手段
Fusion GL → ARCS ERP のクローズ後(月次) GL 残高(Source System Balance) Balance Load Template、pre-mapped ファイル。runIntegration も ARCS を対象にできる。GL との直接連携の可否は公式で確認
補助元帳 → ARCS 同上 残高(Subsystem Balance)や明細 ERP から BIP・OTBI でファイルを作って取り込む。Fusion 標準の照合インフォレットで足りるかも検討
銀行 → ARCS 日次または月次 銀行明細 CSV にして Import Transactions、または importTmPremappedTransactions
ARCS → FCC 照合の完了後 手順上の前後関係 FCC の Task Manager に照合完了の確認を置く運用。公式の連携機能は未確認
ARCS → GL 差異が見つかったとき 修正仕訳 ERP で入力する(仕訳)。自動の書き戻しは確認できていない。Enterprise Journals Mapping の用途は公式で確認
要件 標準でできること 足りないとき
残高の証明と承認 3 つの Method、Preparer・Reviewer のワークフロー、リスクに応じた承認、Rules による提出前のチェック 独自の項目は Attributes で足す
大量の明細の突合 4 種類のルール、許容差、営業日、部分一致、自動調整 値の整形は計算属性、Data Integration の SQL マッピング、データソースの分割
残高・明細の取込 pre-mapped の CSV、Balance Load Template、EPM Automate 抽出と変換は BIP・OIC などで作る
通知・報告 Alert Types、レポート(runComplianceReport、runMatchingReport) 独自の帳票は REST API などで取り出す(対象は公式で確認)

Fit to Standard では、①残高の証明か明細の突合か、②Fusion 標準(照合インフォレット、CM の銀行照合)で足りるか、③ARCS で統制まで行う価値があるか、の順に確認します(標準機能とアドオンの考え方)。

  • 対象はリスクと明細の件数で決めます。高リスクの勘定と、明細の多い勘定(銀行、会社間、清算勘定)から始め、残りは Account Analysis か Variance Analysis で軽く運用します。
  • Transaction Matching では、同じ Match Type の取込は並行して流せますが、Auto Match は全部の取込が終わってから別に実行します。取込中と Auto Match 中は Match Type がロックされます。
  • 許容差は基準の Source 側に設定します。Sub System 側だと、同じ日付差でも一致しないことがあります。
  • Security Filters で担当範囲を絞り、地域の責任者には Power User を割り当てます。
  • アンチパターン:全勘定を 1 つの Format で運用する、明細のない勘定まで Transaction Matching に載せる、Match Type を勘定ごとに乱立させる。

次は、確認できた範囲の整理です。

  • 会計期間:Period は開始日・終了日・クローズ日・頻度を持ちます。4 月始まりの会社は、ERP の会計期間と Period の名称・頻度を最初に合わせます。
  • 営業日と祝日:日付の許容差は、Use Business Calendar で週末・祝日を除けます。祝日は組織単位の Holiday Rules に登録する前提で、日本の祝日が標準で入っているかは確認できていません。入金日がずれやすい銀行照合で役立ちます。
  • 日付の書式:Import Transactions の Date Format は、DD/MM/YYYY(既定)、MM/dd/yyyy、dd/MM/yyyy、MM-dd-yyyy、d-M-yyyy、MMM d.yyyy から選びます。yyyy/MM/dd はないため、ERP 側の抽出で書式をそろえます。
  • 金額と通貨:金額は合計 15 桁・小数 12 桁までで、差異の計算は小数 2 桁に丸められます。
  • 銀行明細:全銀形式などの銀行ファイルを ARCS が直接読めるかは確認できていません。CSV に変換して取り込みます。振込依頼人名の半角カナなどは、計算属性か抽出側で正規化します。
  • 内部統制(J-SOX):Preparer と Reviewer の承認、コメント・添付の記録を、決算の統制の証跡として使う設計が考えられます。位置づけは自社の内部統制の設計で決めます。
  • 日本語:UI とドキュメントの日本語対応、ファイルの文字コードとサイズの上限は読めていないため、公式で確認してください。

設定は Home > Application > Configuration のタブ(Alert Types、Attributes、System Attributes、Currencies、Enterprise Journals Mapping、Balance Load Templates、Filters、Formats、Views、Organizations、Periods、Settings)です。Transaction Matching の取込と自動照合は、Application > Jobs > Transaction Matching > Actions の Import Transactions と Run Auto Match で実行し、結果は Job History で確認します。

Transaction Matching の取込ファイルは CSV で、ヘッダー行の列名を Data Source の attribute ID に合わせます。

  • 必須の列は Account ID(どの照合に入れるか)、Acctg Date(会計期間の判定)、Amount(期末の計算に使う金額)です。同じ Match Type なら、複数の勘定を 1 ファイルに入れられます。
  • Currency 属性がある場合は各行に通貨コードが必要で、欠けた行があるとエラーになり取込は完了しません。値にバックスラッシュ \ を含めるときは \\ と書きます。
  • 取込は常に新しい取引になります。取込済みで未照合の取引の更新は、REST API の Update Unmatched Transactions を使います。
  • エラーがあると取込全体が取り消され、ジョブは failed になります。
  • 期間がロックされていないとき、Closed Through Date 以前の Accounting Date を含む取込は、照合を警告なしで自動的に再オープンします。
  • Power User は、自分の Security Filters の範囲内のプロファイルにだけ取り込めます。
取込ファイルの例(架空。Invoice Number は Data Source に定義した属性)
Account ID,Acctg Date,Amount,Invoice Number
JP01-1130,20/04/2026,1100.00,145292
JP01-1130,19/04/2026,461.68,145293

EPM Automate のコマンドです(公式の Account Reconciliation コマンド一覧より)。

用途 コマンド
取込 importBalances(Data Management と Balance Load Template)、importPreMappedBalances、importPreMappedTransactions、importTmPremappedTransactions(データソースを指定)、importProfiles、importRates、importRCAttributeValues、importTMAttributeValues
実行 runAutomatch、runProfileRules、runReconciliationRules、runAutoAlert、createReconciliations、setPeriodStatus
レポート・学習 runComplianceReport、runMatchingReport、trainMatching、trainAttribute、predictAttribute
TM の保守 archiveTmTransactions、purgeTmTransactions、purgeArchivedTmTransactions
移行・統合 exportSnapshot・importSnapshot、exportMapping・importMapping、runBatch、runIntegration

月次の自動化は、login → uploadFile → 取込 → runAutomatch → レポート → logout の順に呼ぶ形が基本です。引数と、ファイルのアップロード先は、各コマンドの公式ページで確認してください。

  • 対応試験:Oracle Account Reconciliation 2026 Implementation Professional(1Z0-1087-26)。ARCS 模擬テスト で演習できます。
  • 形式:試験ページを読めず、問題数・時間・合格ラインは未確認です(模擬テストは暫定で 50 問・90 分・合格 68%。EPM の FCC 日本語版の値)。オラクル日本の認定試験一覧(2026 年 10 月確認)に ARCS の行はなく、日本語での受験は確認できません。
  • 分野(このサイトの整理。公式の出題範囲は未確認):全体像とロール、Reconciliation Compliance の設定、フォーマットとプロファイル、Transaction Matching、ワークフローとセキュリティ、データ取込と自動化。
  • 覚えること:Compliance と Matching の使い分け、3 つの Method、Profile と Period の頻度の一致、Profile Segments は残高の割当を決めないこと、ルール 4 種類と許容差の適用先、取込ファイルの必須列、ロールと Security Filters、主要な EPM Automate コマンド。

本サイトは学習目的で個人が作成した非公式の教材であり、Oracle Corporation およびその関連会社とは関係ありません。内容の正確性は保証しません。最新の仕様・試験範囲は必ず公式ドキュメントと Oracle University の情報で確認してください。

模擬テストの問題は公開されている出題範囲(Exam Topics)と公式ドキュメントをもとに独自に作成したもので、実際の試験問題ではありません。

Oracle、Java、MySQL は Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。その他の製品名・会社名は各社の商標です。

© 2026 Fusion ERP 実装ラボ