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COA・元帳・GL セキュリティ・残高キューブ

GL の設定は「財務構造(COA・カレンダー・通貨)」を作ってから「元帳」を組み立てる順に進みます。

値セット → COA 構造(セグメント・ラベル)→ COA インスタンス → デプロイ
→ セグメント値・勘定階層 → 相互検証ルール
会計カレンダー・通貨・換算レートタイプ
↓
プライマリ元帳 → 元帳オプション → 法的エンティティと BSV の割当
→ セカンダリ元帳・報告通貨 → 会計構成の Review and Submit → Open First Period
↓
元帳セット → データ・アクセス・セット → セグメント値セキュリティ

新規導入では、COA・カレンダー・法的エンティティ・元帳・BU を Excel のスプレッドシートでまとめて作るラピッド・インプリメンテーション(Rapid Implementation)が使えます。Setup and Maintenance で「Define Financials Configuration for Rapid Implementation」のタスク・リストを含む実装プロジェクトを作って進めます。

セグメント・ラベルは、各セグメントが GL の中で果たす役割を示します。

ラベル 役割 必須か
Primary Balancing Segment BSV ごとに仕訳の貸借一致を保証する。通常は会社(法的エンティティ) 必須
Second/Third Balancing Segment 追加の貸借一致(例:事業部)。最大 3 つまで 任意
Natural Account Segment 勘定科目。資産・負債・資本・収益・費用の区分と転記可否を決める 必須
Cost Center Segment 原価部門 任意(固定資産の減価償却・追加の追跡や経費の承認限度の保持で必要)
Intercompany Segment 会社間取引の相手先 任意
  • 1 つのラベルは 1 つのセグメントにだけ割り当てるのがベストプラクティスです。ラベルは割当時に検証されないため、使用前に必ず確認します。
  • Intercompany Segment は Primary Balancing Segment や Natural Account Segment と兼用できません。Primary Balancing Segment と同じ値セットを使うこともできますが、セグメント値セキュリティと組み合わせると、たとえば「会社 01 だけ使えるユーザーが 01 と 02 の会社間取引を入力できない」問題が起きます。
セグメント 桁 ラベル 例
会社 3 Primary Balancing 101(サンプル商事)、102(サンプル物流)
部門 4 Cost Center 1100(営業一部)
勘定科目 6 Natural Account 611100(旅費交通費)
補助科目 4 (なし) 0000
相手先会社 3 Intercompany 102
予備 4 (なし) 0000

予備セグメントを置くかどうかは、将来の組織変更への備えと、入力・レポートの負担とのトレードオフで決めます。セグメントを増やすほど残高キューブのディメンションも増える点に注意します。

複数のバランシング・セグメント

Section titled “複数のバランシング・セグメント”
  • バランシング・セグメントは最大 3 つです。GL は貸借一致のための明細を自動で作ります。たとえば、インポート時の仮勘定(Suspense)、転記時の仮勘定・端数・利益剰余金、会社間バランシングの債権債務、年度最初の期間オープン時の利益剰余金の計算などです。
  • 法的エンティティごとに少なくとも 1 つの BSV を割り当て、1 つの BSV を複数の法的エンティティで使いません。法的エンティティをまたぐ取引は、必ず BSV もまたぐようにします。
  • 運用開始後に複数バランシング・セグメントへ変更すると、過去データの修正が必要になります。

値セット・構造・インスタンス・デプロイ

Section titled “値セット・構造・インスタンス・デプロイ”
  1. 値セット:セグメント値の入れ物です。COA のセグメントには独立型(Independent)の値セットを使います。
  2. COA 構造(Structure):セグメントの並び、ラベル、既定の値セットを定義します。
  3. COA インスタンス(Structure Instance):元帳が実際に使う COA です。勘定組合せの動的作成(dynamic insertion)を許可するかどうかもここで決めます。
  4. デプロイ:COA はキー・フレックスフィールドなので、作成・変更後にデプロイして初めて使えます。

26D の Getting Started ガイドでは、セグメント値セキュリティ・ルールを Manage Chart of Accounts Configurations ページで設定すると説明しています。フレックスフィールドの基本は フレックスフィールドと値セット を参照してください。

  • 勘定階層は、値セットの値に親子関係を付けたツリーです。ツリー・バージョンに有効日を持たせ、組織変更前後の階層を管理できます。
  • 用途は、財務レポートと Smart View の集計、配賦や再評価の対象範囲の指定(例:再評価定義で「Is a last descendant of」演算子を使う)、データ・アクセス・セットでの親の値の指定などです。
  • 階層を変更したら、残高キューブへ公開(Publish Account Hierarchies)してレポートに反映させます。

相互検証ルール(Cross-Validation Rules)

Section titled “相互検証ルール(Cross-Validation Rules)”
  • 相互検証ルールは、作成させたくない勘定組合せを防ぎます。条件フィルタ(Condition Filter)に当てはまる組合せに対して、検証フィルタ(Validation Filter)を満たすことを求めます。
  • 例:「会社 = 101 の場合、部門は 1000〜1999 のみ」。
  • ルールは新しく作られる組合せに効きます。違反する既存の組合せには遡って適用されないため、必要なら既存組合せを無効化します。
  • 26D の実装ガイドには Cross-Validation Combination Sets と Related Value Sets の章もあります。使い分けはリリースのドキュメントで確認してください。
  • 会計カレンダー:期間の頻度、開始日、調整期間(Adjusting Period)を定義します。日本の 3 月決算なら 4 月開始とし、決算整理を調整期間で行うかを決めます。使用開始後は期間の定義を変えにくいので、年度をまたぐ期間名の付け方まで事前に決めます。
  • 換算レートタイプ:定義済みの Spot、Corporate、User、Fixed があり、独自のタイプも追加できます。
  • Currency Rates Manager:Period Close の作業領域の Manage Currency Rates から開き、換算レートタイプ・日次レート・ヒストリカル・レートを登録・確認します。日次レートは Create in Spreadsheet で一括登録でき、逆レート(Inverse Rate)も扱えます。
  • ヒストリカル・レート:資本など、取引時点のレートで換算すべき残高のために登録します(FBDI の Historical Rates Import も使えます)。

プライマリ元帳・セカンダリ元帳・報告通貨

Section titled “プライマリ元帳・セカンダリ元帳・報告通貨”
  • プライマリ元帳は主たる帳簿で、サブレジャーの仕訳はここに転記されます。
  • セカンダリ元帳は、会計方法・COA・カレンダー・通貨・処理オプションをプライマリと変えられます(例:日本基準のプライマリに対する IFRS)。
  • 報告通貨は、同じ元帳を別の通貨で表現します(例:親会社報告用の USD)。
変換レベル セカンダリ元帳 報告通貨 データの作られ方
残高(Balance) ○ ○ セカンダリは Transfer Balances to Secondary Ledger、報告通貨は Translate General Ledger Account Balances
仕訳(Journal) ○ ○ GL で転記された仕訳を、Journal Conversion Rules(ソース・カテゴリ)に従って複製
サブレジャー(Subledger) ○ ○ Create Accounting が両方の仕訳を作成。GL 起点の仕訳は転記時に複製
調整のみ(Adjustment Only) ○ × GL で入力した調整仕訳だけを持つ。COA・カレンダー・期間タイプ・通貨はプライマリと同じ
  • セカンダリ元帳はサブレジャー・レベルの報告通貨を持てません。
  • 運用中にサブレジャー・レベルのセカンダリ元帳や報告通貨を追加すると、処理途中の取引が会計処理されず、手作業の修正仕訳が必要になることがあります。
  • たまに親会社通貨へ換算するだけなら、仕訳・サブレジャー・レベルの報告通貨は使わず、標準の換算で足ります。

元帳オプション(Specify Ledger Options)

Section titled “元帳オプション(Specify Ledger Options)”
区分 主なオプション ポイント
Accounting Calendar First Opened Period 換算を行うなら、カレンダーの最初の期間より後を選ぶ
Accounting Calendar Number of Future Enterable Periods 0〜999。将来期間は入力できるが転記できない
Subledger Accounting Accounting Method、Journal Language 会計方法はプライマリ元帳作成時の選択が既定
Period Close Retained Earnings Account 必須。年度末に収益・費用の残高をここへ振り替える。運用後の変更は避ける
Period Close Cumulative Translation Adjustment Account 換算する元帳で必須。変更は換算済み残高を削除した後のみ
Period Close Default Period End/Period Average Rate Type 換算で使う既定のレートタイプ
Journal Processing Enable Suspense、Default Suspense Account 貸借不一致の仕訳を仮勘定で受けるか
Journal Processing Rounding Account、Entered Currency Balancing Account、Balancing Threshold 端数・通貨別の貸借差額の処理
Journal Processing Enable journal approval 仕訳承認を使う(仕訳ソース側の設定も必要)
Journal Processing Separate journals by accounting date during journal import インポート時に計上日ごとに仕訳を分ける
Journal Processing Journal Reversal Criteria Set、Run AutoReverse after open period 期間オープン時の自動逆仕訳
Journal Processing Enable intercompany accounting 会社間バランシングを使う(ルールの定義が前提)

このほか、前期間の仕訳入力時の通知、統計数値と金額の混在可否、参照日の検証、平均残高(Average Balances)の有効化などがあります。平均残高への変換は最初の期間をオープンする前に行います。

  • 法的エンティティを元帳に割り当て、各法的エンティティに BSV を割り当てます。元帳で BSV を 1 つでも割り当てたら、使うすべての BSV を割り当てる必要があります。
  • 会計構成は Review and Submit で確定し、最初の期間を Open First Period でオープンします。

データ・アクセス・セットと GL セキュリティ

Section titled “データ・アクセス・セットと GL セキュリティ”

GL のセキュリティは、機能(ジョブ・ロール)とデータ(どの元帳・どの値)の組合せで考えます。全体像は セキュリティの基本 を参照してください。

データ・アクセス・セット(Data Access Set)

Section titled “データ・アクセス・セット(Data Access Set)”
アクセス・セット・タイプ 範囲 指定方法
Full Ledger 元帳または元帳セット全体 元帳・元帳セットを指定
Primary Balancing Segment Value 元帳の特定の BSV 明細値または親の値(Primary Balancing Segment のツリーの親を指定すると子孫も対象)
  • 権限は「Read Only」と「Read and Write」で、BSV や元帳ごとに変えられます。
  • 1 つのデータ・アクセス・セットに複数の元帳・元帳セットを入れるには、COA とカレンダーが共通である必要があります。
  • 元帳や元帳セットを作ると、その全体に読取・更新できるデータ・アクセス・セットが自動で作られます。
  • データ・アクセス・セットで値単位に制限できるのは Primary Balancing Segment の値です。部門など他のセグメントを制限したい場合はセグメント値セキュリティを使います。

例(架空):「JP プライマリ元帳」で、BSV 101 は Read and Write、BSV 102 は Read Only のデータ・アクセス・セットを作ると、サンプル商事の経理担当は自社の仕訳を作成でき、サンプル物流の残高は照会だけできます。

セグメント値セキュリティ(Segment Value Security)

Section titled “セグメント値セキュリティ(Segment Value Security)”
  • 値セットでセキュリティを有効にし、ルールでロールごとに使える値を許可します。仕訳入力や照会・レポートで、そのセグメントの値が制限されます。
  • データ・アクセス・セットとセグメント値セキュリティは両方が同時に効きます。広すぎず狭すぎない設計にするため、担当者の役割ごとに「元帳・会社」と「部門・勘定」のマトリクスを作って確認します。

設計演習は セキュリティ設計 と セキュリティ演習 で扱います。

  • 残高キューブは Essbase のキューブで、COA とカレンダーの組合せごとに作られます。仕訳を転記すると、残高表(GL_BALANCES)と同時にキューブも更新されます。
  • 主なディメンションは、Accounting Period、Ledger、COA の各セグメント、Scenario(実績・予算など)、Balance Amount(期首残高・期間発生額・期末残高など)、Amount Type(PTD・QTD・YTD)、Currency、Currency Type です。
  • Financial Reporting、Smart View、勘定グループ、配賦(Calculation Manager)がこのキューブを使います。
  • 勘定階層の公開を忘れると、レポートの集計に新しい親子関係が反映されません。

詳しい使い方は 財務レポート(Financial Reporting Web Studio・Smart View・残高キューブ) を参照してください。

  1. ナビゲータ > Setup and Maintenance > Financials で実装プロジェクトを作り、ラピッド・インプリメンテーションのスプレッドシートをダウンロードします。
  2. COA(値セット・構造・セグメント値・階層)、カレンダー、法的エンティティ、元帳、BU をシートに記入してアップロードします。
  3. COA インスタンスの設定(動的作成など)と相互検証ルールを確認します。
  4. 元帳オプションを設定し、法的エンティティと BSV の割当を確認して、会計構成を Review and Submit します。
  5. 「Define Ledger Configuration for Rapid Implementation」に沿って、元帳セット、データ・アクセス・セット、セグメント値セキュリティ・ルールなどを設定します。
  6. Open First Period で最初の期間をオープンします。
元帳の基本属性と GL の入力可能期間を確認する(例)
SELECT gl.name AS ledger_name,
gl.currency_code,
gl.chart_of_accounts_id,
gl.period_set_name, -- 会計カレンダー
gps.period_name,
gps.closing_status -- 例:O=オープン、F=将来入力可能
FROM gl_ledgers gl
JOIN gl_period_statuses gps ON gps.ledger_id = gl.ledger_id
WHERE gps.application_id = 101 -- GL の期間(サブレジャーは別の APPLICATION_ID)
AND gps.closing_status IN ('O', 'F')
ORDER BY gl.name, gps.start_date

ステータス・コードの意味は Tables and Views for Financials の列定義で確認してください。

落とし穴とベストプラクティス

Section titled “落とし穴とベストプラクティス”
  • COA と元帳の設計は、グループ全体で共通化できる部分(会社・勘定科目の体系)を先に決めます。元帳セット・データ・アクセス・セット・Close Monitor は COA とカレンダーの共通化が前提です。
  • 元帳通貨は取引の大半が発生する通貨にし、プライマリとセカンダリは同じ通貨にそろえると照合が楽になります。
  • 移行前に、旧システムの勘定 → 新 COA の対応表を作り、試算表レベルで突合できるようにします(移行設計)。
  • 対応分野:GL 模擬テスト の「Implementing Enterprise and Financial Reporting Structures」と「Implementing Ledgers」
  • 必須のセグメント・ラベル(Primary Balancing、Natural Account)と、Intercompany Segment の制約
  • 変換レベル:セカンダリ元帳は 4 つ(Balance・Journal・Subledger・Adjustment Only)、報告通貨は 3 つ
  • 元帳オプション:Retained Earnings Account は必須、CTA は換算する元帳で必須、将来入力可能期間は転記不可
  • データ・アクセス・セットの 2 タイプと Read Only/Read and Write、COA・カレンダー共通の条件
  • 残高キューブは COA とカレンダーの組合せごと、転記でリアルタイム更新

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