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AI Agent Studio 演習:社内規程 Q&A エージェントを作る

  • 要件から、役割・範囲・ナレッジ・トピック・出力・評価基準を決めたエージェント設計シートを作れる
  • 規程文書を RAG 向けに構造化し、ドキュメント・ツールとして公開できる
  • システム・プロンプト、トピック、要約プロンプトを役割分担して書ける
  • ワークフローの Security・Questions を設定して公開し、利用者のロールを準備できる
  • デバッガーと評価セットで、正確さと「答えてはいけない質問」への対応を確かめられる

前提・準備(Fusion 環境あり/なし)

Section titled “前提・準備(Fusion 環境あり/なし)”
  • AI Agent Studio を使えるテスト用の Fusion 環境(本番環境では行わない)
  • 作る人のロール:経理領域のエージェントを構成できるカスタム・ロール(例:XX_FIN_AI_AGENT_BUILDER)。内容は全体像のページの「作る人(ビルダー)のロール」を参照
  • 使う人のロール:HRC_ACCESS_AI_AGENT_CHAT_PRIV と ORA_DR_FAI_GENERATIVE_AI_AGENT_RUNTIME_DUTY を含むカスタム・ロール(例:XX_AI_AGENT_USER)。どちらも権限グループを有効化しておく
  • 前提ジョブ:Import Resource Application Security Data → Import User and Role Application Security Data を実行済み。監視を見る場合は Aggregate AI Agent Usage and Metrics もスケジュールする
  • エージェントの実行量は、監視画面で AI Units として表示されます。利用条件は自社の契約を確認してください
  • 下の規程本文と、ステップ 1 の設計シートを使います。テキスト・エディタかスプレッドシートで埋めてください
  • 画面操作のステップ(3・5・6・8)は、手順を読んで「どの画面で何を設定するか」を設計シートに書き足します

次の文章を expense-policy.txt(または DOCX)として保存し、ドキュメント・ツールにアップロードします。

expense-policy.txt(サンプル商事株式会社 経費精算規程・架空)
サンプル商事株式会社 経費精算規程(2026年4月1日改定)
第1章 総則
第1条 目的
この規程は、従業員が業務のために立て替えた経費の精算方法を定める。
第2条 適用範囲
この規程は、正社員と契約社員に適用する。派遣社員には適用しない。
第2章 交通費
第5条 精算できる交通費
業務上の移動にかかった公共交通機関の運賃のうち、最も経済的な経路の運賃を精算できる。
通勤定期券の区間の運賃は精算できない。
第6条 タクシーの利用
次のいずれかに当たる場合に限り、タクシーを利用できる。
(1) 22時以降に業務が終わり、公共交通機関で帰宅できない場合
(2) 業務用の重い荷物を運ぶ場合
(3) 上長が事前に承認した場合
第7条 新幹線と航空機の座席
新幹線は普通車指定席、航空機はエコノミークラスを利用する。
第3章 宿泊費と日当
第8条 宿泊費の上限
国内出張の宿泊費は1泊12,000円(税込)を上限とする。
東京23区と大阪市内に宿泊する場合は1泊14,000円(税込)を上限とする。
第9条 日当
片道100km以上の日帰り出張は1日2,000円、宿泊を伴う出張は1日3,000円を支給する。
第4章 会議費と交際費
第10条 社内会議の飲食費
社内会議の飲食費は1人1,000円(税込)を上限とする。
第11条 交際費
取引先との飲食費は、事前に交際費申請の承認を得た場合に限り精算できる。
1人あたりの上限は10,000円(税込)とする。
第5章 精算の手続き
第12条 精算の期限
経費は、発生した月の翌月10日までに申請する。
期限を過ぎた申請は、部長の承認がある場合に限り受け付ける。
第13条 必要な証憑
1件3,000円以上の経費には領収書を添付する。
領収書がない場合は、支払証明書に理由を書き、上長の承認を得る。
第14条 精算できない費用
私的な飲食費、交通違反の反則金、個人の会員費は精算できない。
第15条 問い合わせ先
この規程に関する問い合わせは、経理部 経費精算窓口(内線1234)とする。

ステップ1 要件を整理し、エージェント設計シートを作る(机上)

Section titled “ステップ1 要件を整理し、エージェント設計シートを作る(机上)”

要件は次のとおりです。

  • 従業員が「タクシーを使ってよいか」「宿泊費の上限は」「精算の期限は」などを、規程を探さずにチャットで確認できるようにしたい
  • 回答には根拠の条番号を付ける。規程にないことは推測で答えず、窓口を案内する
  • 個人の申請状況や給与など、規程以外の質問には答えない
  • 経理部の担当者が規程を改定したら、すぐに回答へ反映できるようにしたい

この要件で、次の設計シートを埋めてください。

項目 決めること
目的と利用者 誰の、どんな困りごとを解決するか。使う人のロール
パターン 単一エージェント/ワークフロー(決定的)/スーパーバイザー型のどれにするか、その理由
答える範囲・答えない範囲 範囲外の質問への対応方法
ナレッジとツール どのツール種類を使うか。文書の分け方、ツールの説明文
トピック 共通化する指示(範囲外の対応など)
出力形式 回答の構成、長さ、根拠の示し方
人の承認・エラー時 承認が必要な操作はあるか。エラー時の通知先
評価の基準 どんな質問で、何を合格とするか
届け方 利用者がどこからエージェントを使うか

ステップ2 規程文書を RAG 向けに整える(机上)

Section titled “ステップ2 規程文書を RAG 向けに整える(机上)”

ドキュメント・ツールは、文書を意味のまとまり(チャンク)に分けて検索します。次の「悪い例」を、検索しやすい形に直してください。

悪い例(1 つの段落に複数のテーマが混ざっている)
出張について
出張のときはタクシーは22時以降や荷物が重いときなどに使えますが宿泊は1泊12,000円まで(東京と大阪は14,000円)で、
精算は翌月10日までにしてください。領収書は3,000円以上で必要です。

確認するポイントは、①見出しが内容を表しているか、②1 つのセクションが 1 テーマか、③見出しのレベルが区別できるか、の 3 つです。あわせて、画像やスキャンしたページは 1 文書 5 つまで、1 ファイル 25 MB 以下に収めます。

ステップ3 ドキュメント・ツールを作る(環境あり)

Section titled “ステップ3 ドキュメント・ツールを作る(環境あり)”
  1. AI Agent Studio の Resources タブ > Tools サブタブ > Add を選ぶ
  2. Tool Type に Document を選び、名前(例:Expense Policy Docs)、説明、Family、Product を入力する。説明文はステップ 4 の解答例を参考に「いつ使うか」を書く
  3. Document セクションの Add Document で文書名(例:経費精算規程 2026年4月改定)を入力し、expense-policy.txt を追加する
  4. Status を Ready to Publish にして Create を選ぶ
  5. スケジュール済プロセス Process Agent Documents の完了後、状態が Published になったことを確認する

ステップ4 トピックとエージェントを作る

Section titled “ステップ4 トピックとエージェントを作る”
  1. 範囲外の質問と、規程に記載がない質問への対応をトピックとして作ります(例:コード XX_COMMON_OUT_OF_SCOPE)。トピックはツールと同じくエージェントに追加する部品です。作成画面の位置はリリースで変わることがあるため、Resources タブで確認してください
  2. Resources タブ > Agents サブタブ > Add でエージェントを作ります
    • Details:Name(例:経費規程アドバイザー)、Family、Product、Description、Maximum Interactions(例:5)
    • Prompts:Agent Role、Prompt(システム・プロンプト)、Summarization Mode を Custom にして Summarization Prompt を書く
    • LLM:まずは既定のモデルのまま
  3. Available Tools で Expense Policy Docs を、Available Topics で作ったトピックを追加し、Create を選びます

環境がない人は、Agent Role・Prompt・Summarization Prompt・トピック・ツールの説明文の 5 つを文章で書いてください。

ステップ5 ワークフローを作る(環境あり)

Section titled “ステップ5 ワークフローを作る(環境あり)”
  1. Workflows タブ > Add を選ぶ
  2. Settings を設定する
    • Details:Agent Team Name and Code(例:XX_EXPENSE_POLICY_QA)、Family、Product、Description
    • Security:使う人のロール(例:XX_AI_AGENT_USER)を追加する
    • Questions:ウェルカム・メッセージと、最初に提示する質問を 3 つ(例:「タクシーを使える条件は?」「宿泊費の上限は?」「精算の期限は?」)
    • Error Handling:恒久的なエラーの通知先に、運用担当のメールを設定する
  3. キャンバスに Agent ノードを追加し、ステップ 4 のエージェントを選ぶ。開始から Agent ノード、終了へとつなぐ

ステップ6 デバッグする(環境あり)

Section titled “ステップ6 デバッグする(環境あり)”
  1. ツールバーの Debug を選び、Ask Oracle に質問を入力する
  2. Agent ノードを選び、Node Details の Input・Output・Context・Token metrics を確認する。回答の根拠になった文書の箇所も確認する
  3. Run Profiles で次の 3 つを保存し、毎回同じ入力で再実行できるようにする
    • 「数値を問う質問」:東京で1泊した場合の宿泊費の上限は?
    • 「範囲外の質問」:来月の給与の振込日は?
    • 「規程に記載がない質問」:海外出張の日当はいくら?

ステップ7 評価セットで確かめる

Section titled “ステップ7 評価セットで確かめる”
  1. Monitoring and Evaluation タブ > Manage Evaluations > Add で評価セットを作る(評価対象にこのワークフローを選ぶ)
  2. Run Mode は Random、Enable document tool evaluation を有効にする
  3. 解答例の CSV をアップロードし、Metrics で正確さのしきい値(例:0.7 未満を不合格)を設定する
  4. Initiate Evaluation Run で実行し、View Run Results で不合格の質問を確認する
  5. プロンプトや文書を直したら再実行し、2 つの実行を Compare する

環境がない人は、評価用の質問と期待する回答を 8 件以上書いてください。正常系だけでなく、範囲外の質問と、規程に記載がない質問を必ず入れます。

ステップ8 公開して利用者に届ける(環境あり)

Section titled “ステップ8 公開して利用者に届ける(環境あり)”
  1. ワークフローを Publish する
  2. 使う人のロールを持つテスト・ユーザーでログインし、Me > Quick Actions > Show More > AI Agent Studio > AI Agent でエージェントの一覧(Agent Explorer)を開いて、エージェントが表示されることを確認する
  3. 翌日以降、Monitoring and Evaluation タブの Monitoring でセッション数・エラー率・トークンを確認する
  • 文書の状態が Published になっている
  • 回答に条番号が付き、数値(12,000円、翌月10日など)が規程と一致している
  • 範囲外の質問(給与など)を断り、担当範囲を説明している
  • 規程に記載がない質問(海外出張の日当)を推測で答えず、窓口を案内している
  • ワークフローの Security タブに使う人のロールが追加され、テスト・ユーザーの一覧に表示される
  • 評価セットに、正常系・範囲外・記載なしの質問が含まれている
ステップ1:エージェント設計シートの解答例
項目 解答例
目的と利用者 全従業員が経費規程を自分で確認できるようにし、経理窓口への定型の問い合わせを減らす。使う人のロールは全従業員の共通ロールに割り当てたカスタム・ロール
パターン 単一エージェント+ドキュメント・ツール。範囲が 1 領域で、ツールが 1 つなので振り分け役(スーパーバイザー)は不要
答える範囲・答えない範囲 経費精算規程の内容だけに答える。個人の申請状況・給与・人事は断り、担当範囲を説明する
ナレッジとツール ドキュメント・ツール 1 つ。規程の改定時は旧版を削除して新版を Ready to Publish にする
トピック 範囲外・記載なしへの対応を共通トピックにする(他の規程エージェントでも再利用)
出力形式 結論 → 根拠(条番号)→ 次の行動の 3 段。300 字以内
人の承認・エラー時 参照だけなので承認は不要。恒久的なエラーは運用担当へメール通知
評価の基準 正常系・範囲外・記載なしを含む 8 件以上。正確さ 0.7 以上を合格、範囲外と記載なしは全件で窓口を案内できること
届け方 まず Agent Explorer で公開する。経費精算の画面に組み込む場合は、ガイド付きジャーニーや VB Studio を検討する
ステップ2:悪い例を直した文書の解答例
第2章 交通費
第6条 タクシーの利用
22時以降に業務が終わり公共交通機関で帰宅できない場合、
業務用の重い荷物を運ぶ場合、上長が事前に承認した場合に限り利用できる。
第3章 宿泊費と日当
第8条 宿泊費の上限
国内出張は1泊12,000円(税込)、東京23区と大阪市内は1泊14,000円(税込)を上限とする。
第5章 精算の手続き
第12条 精算の期限
経費は、発生した月の翌月10日までに申請する。
第13条 必要な証憑
1件3,000円以上の経費には領収書を添付する。

テーマごとに見出しを分け、見出しだけで内容が分かるようにしました。

ステップ4:プロンプト・トピック・ツールの説明文の解答例
Agent Role
サンプル商事株式会社の経費精算規程について、従業員の質問に答える案内担当です。
丁寧で簡潔な日本語で答えます。
Prompt(システム・プロンプト)
# 範囲
- 経費精算規程に関する質問だけに答えます。
- 個人の申請状況、給与、人事に関する質問には答えません。
# ツール
- 規程に関する質問には、必ず Expense Policy Docs ツールで規程を検索してから答えます。
- 質問があいまいな場合(例:国内か海外か不明)は、ツールを呼ぶ前に聞き返します。
# 制約
- 回答はツールの検索結果に書かれた内容だけに基づきます。推測や一般論で補いません。
- 数値や条件を答えるときは、根拠の条番号を必ず示します。
# トピック
$topic.XX_COMMON_OUT_OF_SCOPE
Summarization Prompt(Custom)
次の形式で、300字以内で回答してください。
1. 結論(1〜2文)
2. 根拠(条番号と要点)
3. 次に取る行動(例:期限を過ぎた場合は部長の承認を得て申請する)
根拠が見つからない場合は、1 で「規程に記載が見つかりませんでした」と伝え、3 で経理部 経費精算窓口(内線1234)を案内してください。
トピック XX_COMMON_OUT_OF_SCOPE
対象:担当範囲外の質問、規程に記載のない質問
1. 担当範囲外の質問には、担当範囲(経費精算規程)を一文で説明して断る。
2. 規程に記載がない質問には、推測せずに問い合わせ先を案内する。
3. 1 または 2 に当たる場合は、検索結果を使った回答を作らない。
ツールの Description
サンプル商事の経費精算規程(2026年4月1日改定)を検索する。
交通費・タクシー・宿泊費・日当・会議費・交際費・精算の期限・証憑・精算できない費用の質問に使う。
個人の申請状況や承認状況の確認には使わない。
ステップ7:評価セット(CSV)の解答例
タクシーはどんなときに使えますか?,22時以降に業務が終わり公共交通機関で帰宅できない場合、業務用の重い荷物を運ぶ場合、上長が事前に承認した場合に利用できます(第6条)。
大阪市内に1泊する出張の宿泊費の上限はいくらですか?,大阪市内は1泊14000円(税込)が上限です(第8条)。
名古屋に1泊する出張の宿泊費の上限はいくらですか?,国内出張の上限は1泊12000円(税込)です(第8条)。
3月20日に使った経費はいつまでに申請すればよいですか?,発生した月の翌月10日までなので、4月10日までに申請します(第12条)。
期限を過ぎてしまった経費は精算できますか?,部長の承認がある場合に限り受け付けます(第12条)。
2500円の文房具代に領収書は必要ですか?,領収書の添付が必要なのは1件3000円以上の経費です(第13条)。
派遣社員はこの規程で精算できますか?,この規程は正社員と契約社員に適用され、派遣社員には適用されません(第2条)。
海外出張の日当はいくらですか?,規程に記載が見つかりませんでした。経理部 経費精算窓口(内線1234)にお問い合わせください。
来月の給与の振込日はいつですか?,この窓口では経費精算規程についてのみ回答しています。給与については人事部門にお問い合わせください。

CSV の項目内に半角カンマを入れないよう、金額は「14000円」のように書いています。

症状 主な原因 対処
規程を検索せずに一般論で答える ツールをエージェントに追加していない。説明文があいまい Available Tools を確認し、説明文に「いつ使うか」を書く。プロンプトで「必ず検索してから答える」と指示する
文書が Published にならない 処理ジョブが動いていない、権限が足りない oraCommonFusionAISecurityAuthorization_create_Rag_OraResource を確認し、Draft に戻して保存してから再度 Ready to Publish にする
Security タブにロールが出ない ロールの権限グループが無効 セキュリティ・コンソールで権限グループを有効にする
利用者の一覧にエージェントが出ない 未公開、実行用のロールがない、Security タブに未登録 公開状態、ORA_DR_FAI_GENERATIVE_AI_AGENT_RUNTIME_DUTY などの割当、Security タブの順に確認する
旧版の規程で回答する 旧版の文書が残っている 旧版を削除して再公開し、評価セットを再実行する
監視タブが空 集計ジョブを実行していない Aggregate AI Agent Usage and Metrics を実行・スケジュールする
  1. ワークフロー型に作り替える:LLM ノードで質問を「規程の質問/範囲外」に分類し、Switch で分岐させます。規程の質問は RAG Document Tool ノードで検索し、LLM ノードで根拠付きの回答を作ります。分岐ごとの Run Profile も作ってください
  2. 例外の相談を人へ回す:「期限を過ぎた申請をしたい」という相談には、Send Email ノードで経理担当者へ内容を送る分岐を追加します
  3. 本番環境へ移行する設計を書く:Workflows タブからのエクスポート(ZIP)、本番環境でのインポート、文書の再アップロードと再公開、公開までの手順書を作ります
  4. 画面に組み込む:経費精算の Redwood ページから使えるよう、ガイド付きジャーニー(タスクの種類 Agent)で届ける設計を考えます

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