Planning の全体像と試験範囲
モジュールの役割と位置づけ
Section titled “モジュールの役割と位置づけ”Planning は、**予算(Budget)・予測(Forecast)・シナリオ分析(What-if)**を行う製品です。Fusion ERP が「何が起きたか」を記録するのに対し、Planning は「これからどうするか」を数字にします。R2R の終点である GL の実績を取り込み、計画と比べて差異を分析し、次の計画に反映します(R2R:記帳から決算・連結・EPM まで)。
| 業務 | 目的 | Planning での実現(例) |
|---|---|---|
| 予算 | 年度の目標を部門・製品・勘定に配分し、承認して確定する | シナリオ「予算」、バージョン「作業中」「確定」、承認 |
| 予測(ローリング予測を含む) | 実績を踏まえて着地見込を更新する | シナリオ「予測」、実績の取込、Auto Predict |
| シナリオ分析 | 前提を変えた複数案を比較する | バージョンの複製と比較。長期は Strategic Modeling |
Planning は Fusion ERP とは別の製品です(EPM Cloud の全体像)。
| 観点 | Fusion ERP(GL など) | Planning(EPM Cloud) |
|---|---|---|
| 環境 | Fusion アプリケーションの環境 | EPM Cloud の別の環境(別 URL) |
| データの持ち方 | リレーショナルな表。SQL・BIP・OTBI で参照 | Essbase のキューブ。SQL では直接参照しない |
| ロール | ジョブロール・データロール | Service Administrator、Power User、User、Viewer とアクセス権限 |
| アップデート | 四半期(26A〜26D) | 「年.月」形式(例:25.05、26.09) |
アプリケーション構造(キューブ・ディメンション)
Section titled “アプリケーション構造(キューブ・ディメンション)”Planning は「組織」ではなく、キューブとディメンションでアプリケーションを作ります。この節が「使用する組織」の代わりです。
- キューブ:Essbase のデータベースです。入力と計算に使うブロック・ストレージ(BSO)と、大量データの集計・報告に使うアグリゲート・ストレージ(ASO)があります。Modules を選ぶと、モジュールごとの専用キューブが作られます(例:Financials のキューブ名・プランタイプ名は OEP_FS。公式チュートリアルで確認)。
- ディメンション:データを切る軸です。標準ディメンションと、アプリごとのカスタム・ディメンションがあります。
| ディメンション | 役割 | メンバー例(架空) | Fusion 側の対応(例) |
|---|---|---|---|
| Account | 計画する項目。勘定タイプ(収益・費用・資産・負債・資本・保存仮定)を持つ | 売上高、人件費 | COA の勘定科目セグメント |
| Entity | 計画の単位(会社・事業部・部門)。承認の階層にも使う | JP01 サンプル商事、営業本部 | 会社・部門のセグメント値 |
| Scenario | 目的別の区分 | 実績、予算、予測 | なし(EPM 側で定義) |
| Version | 同じシナリオ内の版 | 作業中、確定 | なし(EPM 側で定義) |
| Period・Years | 月・四半期と年度の時間軸 | 4月〜3月、FY27 | 会計カレンダー・会計年度 |
| カスタム | 製品、プロジェクト、地域など | Product、Project | 製品・プロジェクトのセグメント |
多通貨のアプリでは Currency ディメンションも加わります。Custom と Modules では、多通貨は simplified multicurrency で作成します(公式ガイドで確認)。キューブやディメンションの上限数は、サービスとアプリケーションの種類で異なるため、公式のガイドで確認してください。
サンプル商事株式会社 予算アプリ ├ 入力用キューブ(BSO):予算・予測の入力と計算 ├ レポート用キューブ(ASO):集計と分析 ├ 標準:Account / Entity / Period / Years / Scenario / Version ├ カスタム:Product、Department └ 補助:Smart List、別名テーブル(日本語・英語)、置換変数(現在年度・現在月)密・疎、キューブの分け方、データロードは アプリケーション設計 で説明します。
主要な業務プロセス
Section titled “主要な業務プロセス”- 準備:会計カレンダー、シナリオ・バージョンを用意し、置換変数(現在年度・現在月)を更新します。
- 実績の取込:月次で Fusion GL の残高を Data Integration で取り込みます。
- 予算編成:本社が方針を示し、部門がフォームや Smart View で入力します。ルールで計算し、承認ユニットで承認して確定します。
- 予測(ローリング予測):実績の確定後に着地見込を更新します。Auto Predict などで基準値を作り、現場が補正します。
- シナリオ分析:バージョンを複製して前提を変え、結果を比較します。
- 差異分析と報告:予算・実績・予測の差異を、Smart View や Narrative Reporting で共有します。
- 期末・年度更新:バージョンを確定して編集を止め、年度を追加し、スナップショットでバックアップします。
マスタデータ
Section titled “マスタデータ”| マスタ | 内容 | 作成場所・UI | 移行手段 |
|---|---|---|---|
| ディメンションとメンバー | Account、Entity、製品などの階層と属性 | Dimensions(管理画面) | importMetadata、EDM |
| Smart List・別名・置換変数 | 入力の選択肢、表示名、年度・月の変数 | 各管理画面 | スナップショット |
| アクセス権限 | メンバー・フォーム・ルール単位の権限 | アクセス制御 | スナップショット |
| フォーム・ルール・ダッシュボード | 画面と計算の定義 | フォーム、Calculation Manager | exportSnapshot、importSnapshot |
作成順序は、アプリケーション作成(ビジネスプロセス・カレンダー・通貨)→ ディメンション → Scenario・Version・変数 → セキュリティ → 実績ロード → フォーム・ルール → 承認 → テストです。メタデータを変えたら、キューブをリフレッシュします。
複数の EPM アプリで階層をそろえるときは、EDM でマスタを一元管理して配信する設計があります。EDM と Groovy ルールで Planning にメタデータを取り込む公式チュートリアルがあります(EDM)。
他モジュールとの連携
Section titled “他モジュールとの連携”| タイミング | 連携先 | 流れるデータ | 仕組み |
|---|---|---|---|
| 月次(GL クローズ後) | Fusion GL → Planning | 勘定残高(実績) | Data Integration。Oracle General Ledger を接続元に登録し、COA のセグメントをディメンションへマッピング |
| 計画の確定後 | Planning → Fusion GL | 予算・予測 | 書き戻しの対応範囲は公式ガイドで確認 |
| 月次 | FCC(連結) | 実績・連結結果 | EPM アプリ間のデータ連携。範囲は公式で確認(FCC) |
| 報告 | Narrative Reporting | 管理レポートのデータ | EPM のデータソース接続(Narrative Reporting) |
| 人員データ | 人事システム → Workforce | 従業員データ | 対応するデータソースは Data Integration のガイドで確認 |
詳細は EPM データ統合 を参照してください。会計の記録は ERP(SLA → GL)で、Planning は仕訳を作りません。取込の前に GL の期間を締めて転記を済ませ、取込後は GL の試算表と合計を照合します。
標準機能とアドオン
Section titled “標準機能とアドオン”| 要件 | 標準での実現 | アドオン・拡張が必要になりやすい点 |
|---|---|---|
| 予算・予測の編成 | Modules の事前構築コンテンツ、または Custom | モジュールにない勘定体系・計算 |
| 独自の計算 | Calculation Manager のルール | 動的な制御・外部呼び出し:Groovy |
| 承認 | 承認ユニット | 社内の稟議システムとの連携:REST、OIC |
| 予測 | Predictive Planning、Auto Predict、IPM Insights | 独自のモデル:Bring Your Own ML |
| 連携 | Data Integration、EPM Automate、REST | 変換が複雑なファイル連携:OIC など |
ベストプラクティス
Section titled “ベストプラクティス”- 設計:最初に「何を・どの粒度で・誰が入力するか」を決めます。ディメンションは必要最小限にし、入力用と報告用でキューブを分けます
- 移行:環境間の移行はスナップショットで行います。実績取込のマッピングは、Fusion 側の COA の変更と一緒に管理します
- テスト:年度の切替、承認の昇格・却下、ルールの実行時間、実績取込と GL 試算表の照合を確認します
- 運用:デイリーメンテナンスの時刻とジョブが重ならないようにし、変更前にスナップショットを取ります
日本での導入の考慮点
Section titled “日本での導入の考慮点”Planning に固有の日本向けローカライズ機能の有無は、今回の調査では確認できていません(2026 年 10 月)。次の表は日本の商習慣から出てくる設計上の論点です。
| 論点 | 検討の観点 |
|---|---|
| 会計年度(4 月始まりなど) | カレンダー(開始月・期間)は作成時に決める。作成後の変更可否は公式で確認 |
| 期中の組織変更 | Entity 階層の変更と、過去データの読み替え(旧組織別と新組織別の比較) |
| 当初予算・修正予算・見込 | Scenario と Version の使い分け。確定後のロックの運用 |
| 事業部制・カンパニー制 | Entity 階層を組織図に合わせるか、管理会計の階層にするか |
| 国内外の子会社 | 多通貨(simplified multicurrency)、FCC との連携 |
| 稟議・承認の文化 | 承認ユニットの階層、承認の期限、代理の運用ルール |
| 日本語のメンバー名 | 別名テーブルに日本語名・英語名を持たせる。コード体系(桁数・全角半角) |
実装リファレンス
Section titled “実装リファレンス”確認できたものだけを載せています。載っていないものは、各公式ガイドで確認してください。
EPM Automate(主なコマンド)
Section titled “EPM Automate(主なコマンド)”コマンド名は Working with EPM Automate(G45306-08、2026 年 10 月 1 日版)の目次で確認しました。runBusinessRule・runPlanTypeMap・runIntegration・runPipeline は、各コマンドのページで書式まで確認しました。ほかのコマンドの引数は公式ガイドで確認してください。
| コマンド | 用途 | 備考 |
|---|---|---|
| login、logout | サインイン・サインアウト | 認証方式(パスワード、OAuth)は公式で確認 |
| uploadFile、downloadFile、listFiles | ファイル操作 | データ・スナップショットの受け渡し |
| importMetadata、exportMetadata | ディメンション・メタデータ | 変更後はキューブをリフレッシュ |
| importData、exportData | データのロード・エクスポート | |
| runBusinessRule、runRuleSet | ルール・ルールセットの実行 | runBusinessRule RULE_NAME [PARAMETER=VALUE]。runBusinessRule は 1 つのルールだけを実行し、ルールセットは runRuleSet |
| refreshCube、clearCube | キューブのリフレッシュ、クリア | |
| runIntegration | Data Integration の統合の実行 | 書式は EPM データ統合 |
| runPlanTypeMap | ジョブ種別 plan type map のジョブを実行し、BSO から ASO、または BSO 間でデータをコピーする | runPlanTypeMap JOB_NAME [clearData=true|false]。clearData の既定は true(小文字で指定)。Service Administrator のみ。データマップとの関係は公式で確認 |
| exportSnapshot、importSnapshot | スナップショットの出力・取込 | 環境間の移行、バックアップ |
| runDailyMaintenance、setDailyMaintenanceStartTime | デイリーメンテナンスの実行・開始時刻 | |
| autoPredict | Auto Predict の実行 | ガイドでは Hybrid Essbase 有効時 |
EPM Automate は Linux・UNIX・macOS では JDK 21 が必要です(17 もサポート。2026 年 10 月版のガイド)。
runBusinessRule の実行時プロンプト(RTP)は Period=Q1 Entity=USA のように名前と値の組で渡します。ルールに定義された名前と完全に一致しないプロンプトは無視され、値を省略すると既定値が使われます。実行できるのは Service Administrator と、ルールの Launch 権限を持つ Power User です。複数の値を渡す書式は、公式の「Specifying Multiple Values for a Parameter」で確認してください。
#!/usr/bin/env bashset -euo pipefail# 認証情報は環境変数から読む(EPM_USER、EPM_PASSWORD、EPM_URL)epmautomate login "$EPM_USER" "$EPM_PASSWORD" "$EPM_URL"epmautomate runBusinessRule MonthlyAggregation Entity=JP01 # RTP を持つルールの例epmautomate exportSnapshot Backup_20261016epmautomate downloadFile Backup_20261016epmautomate logoutREST API
Section titled “REST API”ルールの実行は、POST /HyperionPlanning/rest/{api_version}/applications/{application}/jobs へのジョブの投入です(公式の例は v3)。本文の項目は jobType(Rules か RULES)、jobName(ルール名)、parameters(実行時プロンプトの JSON。Calculation Manager に既定値がなければ必須)で、Service Administrator か、ルールの Launch 権限を持つ Power User が実行できます。レスポンスの項目とジョブ状態の取得は、公式の Execute a Job で確認してください。認証方式はリリースにより異なります。
curl -s -u "$EPM_USER:$EPM_PASSWORD" -H "Content-Type: application/json" \ -X POST "$EPM_URL/HyperionPlanning/rest/v3/applications/$EPM_APP/jobs" \ -d '{"jobType":"RULES","jobName":"MonthlyAggregation","parameters":{"Entity":"JP01"}}'試験対策ポイント
Section titled “試験対策ポイント”対応する試験は EPM Planning 模擬テスト(1Z0-1080-26:Oracle Planning + AI 2026 Implementation Professional)です。問題数 50 問・90 分・合格ライン 68% は、Oracle 日本語サイトの認定試験一覧(日本語試験 1Z0-1080-26-JPN)で確認した値です。一覧の注記では、リンクのない 2026 年版は 10 月下旬のリリース予定とされています。旧版(1Z0-1080-25)は 2026 年 10 月 30 日に配信終了です。差分試験 1D0-1080-26-D-JPN(25 問・60 分・合格 68%・無償)は、認定に旧バージョンの試験への合格も必要と脚注にあります。公式の Exam Topics は取得できなかったため、分野はこのサイト独自の区分です。受験前に公式ページで最新の出題範囲を確認してください。
| 分野(このサイトの区分) | 主な内容 | 対応ページ |
|---|---|---|
| 全体像とビジネスプロセス、Planning Modules | EPM Cloud、作成オプション、5 つのモジュール | 本ページ、設計 |
| ディメンション・メタデータ・キューブ設計 | 標準ディメンション、密・疎、BSO と ASO | 設計 |
| データのロードと統合 | Data Integration、importData、データマップ | 本ページ、設計 |
| フォーム・Smart View、ビジネスルール | 複合フォーム、Calculation Manager、Groovy、RTP | フォーム・ルール |
| 承認とセキュリティ、予測と AI | 承認ユニット、ロール、Auto Predict、IPM Insights | フォーム・ルール |
| 運用管理と自動化 | EPM Automate、REST、スナップショット | 本ページ |
覚えておきたい判断ポイントです。
- Planning は EPM Cloud の製品で、Fusion ERP とは別の環境です。GL の実績は Data Integration で取り込みます
- 作成オプションは Custom、Modules、Sales Planning、Strategic Workforce Planning、Cash Forecasting、サンプル(Vision)、スナップショットからの Migrate です。FreeForm は 26.09 以降、FreeForm ビジネスプロセスから作ります
- Strategic Modeling は、Custom では作成時の選択か後からの有効化ができます。スナップショットのインポート後は、アーティファクトが含まれる場合を除いて有効化できません
- ルールの実行は EPM Automate の runBusinessRule か、REST のジョブ(jobType は RULES)です。メタデータを変えたらキューブをリフレッシュします
公式ドキュメント
Section titled “公式ドキュメント”- About Planning Modules and Strategic Modeling(Administering Planning Modules)
- Creating an Enterprise Performance Management Enterprise Cloud Service Application
- Selecting the Application Type
- EPM Features with AI
- Working with EPM Automate(PDF)
- REST API for Enterprise Performance Management Cloud
- Integration Process Description(EPM Data Integration)
- Oracle 認定試験一覧(日本語)
本サイトは学習目的で個人が作成した非公式の教材であり、Oracle Corporation およびその関連会社とは関係ありません。内容の正確性は保証しません。最新の仕様・試験範囲は必ず公式ドキュメントと Oracle University の情報で確認してください。
模擬テストの問題は公開されている出題範囲(Exam Topics)と公式ドキュメントをもとに独自に作成したもので、実際の試験問題ではありません。
Oracle、Java、MySQL は Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。その他の製品名・会社名は各社の商標です。
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