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顧客マスタと共通設定

共通設定と顧客マスタの関係は次のとおりです。

システムオプション(BU)
└─ 取引・入金の既定動作、丸め、割引、メール送付など
参照データセット(Common または BU 固有)
└─ 取引タイプ・取引ソース・支払条件・送付先住所・メモ明細・AutoCash ルールセット など
顧客(TCA)
└─ パーティ → 顧客アカウント → アカウントサイト(BU 固有のセット)→ サイト用途
└─ 顧客プロファイル(プロファイルクラスから既定値)

TCA は、法的な主体(パーティ)と、商取引の関係(顧客アカウント)と、所在地(サイト)を分けて管理します。

パーティ(組織または個人)
├─ パーティサイト(所在地) ─ ロケーション(住所)
├─ パーティ関係(子会社・関連会社など)
├─ 連絡先
└─ 顧客アカウント(取引条件)
├─ アカウント連絡先
├─ アカウントサイト(このアカウントで使うパーティサイト)
│ └─ サイト用途(Bill-To、Ship-To など)
└─ アカウント関係(請求・出荷・支払情報の共有)
オブジェクト 意味 主なテーブル
パーティ(Party) 取引の相手となる組織・個人。関係が切れても存在し続ける HZ_PARTIES
パーティサイト・ロケーション パーティの所在地と住所 HZ_PARTY_SITES、HZ_LOCATIONS
顧客アカウント(Customer Account) 取引条件の単位。1 パーティに複数持てる HZ_CUST_ACCOUNTS
アカウントサイト(Account Site) アカウントで使う所在地 HZ_CUST_ACCT_SITES_ALL
サイト用途(Site Use) 請求先・出荷先などの目的 HZ_CUST_SITE_USES_ALL

設計のポイントは次のとおりです。

  • アカウントを分ける基準:取引条件(支払条件・与信・請求方法)が違う場合に分けます。例えば同じ会社でも「物販」と「保守サービス」で請求条件が違えば、別アカウントにします
  • サイトは BU 固有:顧客サイトは BU 固有の参照データセットに割り当てます。アカウントは全社で共有し、請求する BU ごとにサイトと Bill-To 用途を用意します
  • 連絡先と責任(Responsibility):メールで請求書を送るには、メールアドレスと Bill-To の責任を持つ有効な連絡先が必要です。明細書には Statement の責任が要ります。Collections や Dunning の責任を持つ連絡先は、請求書のメール送付先から除かれます
  • アカウント関係:関係を設定したアカウント間では、請求・出荷・支払の情報を共有できます(例:親会社のアカウントが子会社の請求書を支払う)

顧客プロファイルとプロファイルクラス

Section titled “顧客プロファイルとプロファイルクラス”

プロファイルクラスは、顧客を「期日どおりに払う顧客」「遅延が多い顧客」のように分類し、取引条件の既定値をまとめて配る仕組みです。

  • 顧客アカウントを作ると DEFAULT プロファイルクラスが割り当てられます。Edit Account で変更できます
  • サイトには自動では割り当てられません。サイト単位の条件が必要な場合は Create Site Profile で最初のプロファイルを割り当てます
  • アカウントやサイトで個別に値を上書きしても、プロファイルクラス自体は変わりません
  • プロファイルは有効日付の範囲で管理され、取引や入金の日付でどのプロファイルが使われるかが決まります。プロファイル履歴で過去の版を確認できます

プロファイルで管理する主な項目は次のとおりです。

分類 主な項目 関連ページ
請求 支払条件、条件の上書き可否(Override terms)、残高繰越請求(有効化・Bill Level・Bill Type) 請求
送付 送付方法(Preferred Delivery Method:Email、XML、Portal Upload など)、印刷オプション(Print Option) 請求
入金 AutoCash ルールセット、割引の猶予日数、主たる入金方法と支払手段、最低入金額 入金
明細書・督促 明細書サイクル、督促の設定、回収者 回収
与信 与信限度、与信チェックの設定 —

システムオプション(BU 単位)

Section titled “システムオプション(BU 単位)”

Receivables システムオプションは BU ごとの基本設定です。事前に方針を決めておくべき主な項目は次のとおりです。

項目 内容・注意点
Require salesperson 収益会計(収益・営業クレジットの調整)を使うなら有効にする
Use header level rounding ヘッダーで丸め、差額を Header Rounding Account に計上。保存後は無効化できない
Allow change to printed transactions 印刷済み取引の変更可否。入金・クレジットメモ・修正・会計・残高繰越請求への組み込みなどの活動がある取引は、この設定に関係なく変更できない
Allow unearned discounts / Discount on partial payment 割引期間後の割引、一部入金時の割引を認めるか
Enable recurring billing 定期請求(Recurring Bill Plan)を使う場合に有効化
メール送付(Transaction / Statement Delivery Using Email) 差出人名・アドレス・件名・本文(Billing and Revenue のタブ)

Receivables 活動(Receivables Activities)

Section titled “Receivables 活動(Receivables Activities)”

取引・入金以外の活動の既定勘定を定義します。主な活動タイプは次のとおりです。

  • Adjustments:修正。最低 1 つ必要
  • Earned Discount / Unearned Discount:割引期間内・期間後の割引
  • Miscellaneous Cash:雑入金。最低 1 つ必要
  • Receipt Write-off:入金の未消込額や入金不足の償却
  • Refund / Credit Card Refund:返金。Refund は BU で有効なものが 1 つだけ
  • Late Charges:延滞料
  • Prepayments / Payments / Credit Card Chargeback:前受金、入金同士の消込、カードのチャージバック。いずれも BU で有効なものは 1 つだけ
  • Bank Error / Claim Investigation / Short Term Debt など:銀行エラー、差額の調査、手形割引の短期借入

AutoAccounting は、取引の既定の勘定科目を勘定タイプごとに導出するルールです。取引を入力する前に定義が必要で、入力時に上書きもできます。

勘定タイプ 主な導出元(セグメントごとに指定)
Receivable(売掛金) Bill-to Site、Salesperson、Transaction Types、定数
Revenue(収益。延滞料を含む) Bill-to Site、Salesperson、Standard Lines(メモ明細・品目)、Transaction Types、定数
Tax(税) 上記に加え Tax(税率コードの税勘定)
Freight(運賃) Bill-to Site、Salesperson、Standard Lines、Transaction Types、定数
Unearned Revenue / Unbilled Receivable 前受収益(In Advance)・未請求売掛金(In Arrears)
AutoInvoice Clearing 取込取引の差額(取引ソースで有効にした場合のみ使用)
  • 定数(Constant value)は、そのセグメントの有効値でなければなりません
  • 手形(Bills Receivable)関連の勘定タイプでは Drawee Site や Remittance Banks を導出元に使います
  • 例:会社セグメント=Bill-to Site、勘定セグメント=Transaction Types、部門セグメント=Salesperson、補助セグメント=定数「000」

取引タイプは、取引のクラス(Invoice、Credit Memo、Debit Memo、Chargeback など)と、残高・会計への影響を決めます。

項目 内容
Transaction Class Invoice、Credit Memo、Debit Memo、Chargeback など
Open Receivable 顧客残高を更新するか
Post to GL GL への会計の対象にするか
Natural Application Only / Allow Overapplication 残高をゼロまでしか消し込めないか、ゼロを超えて消し込めるか
Creation Sign、Transaction Status、Generate Bill、Print Option 金額の符号、既定の状態(Open・Closed・Pending・Void)、請求書の作成・印刷
Reference Accounts 収益・売掛金などの勘定(AutoAccounting の導出元として使う)
  • 作成順:クレジットメモ用 → 請求書用 → デビットメモ用 → チャージバック用。取引ソースで使う取引タイプは、取引ソースより先に作ります
  • 延滞料を請求するには、デビットメモとして出すなら Debit Memo クラス、利息請求書として出すなら Invoice クラスの取引タイプを作り、売掛金・収益の勘定を指定します。延滞料の作成時は AutoAccounting ではなくこの勘定が使われます
  • Open Receivable は有効、Post to GL は無効の組み合わせにすると、GL に影響させずに顧客残高だけを確認・更新する使い方ができます。組み合わせの詳細はリリースにより異なるため公式ドキュメントで確認してください
  • Natural Application Only の請求書が全額入金済みの場合、クレジットメモを作る前に入金の消込を外す必要があります

取引ソースは、取引の作り方(Manual=手入力、Imported=AutoInvoice で取込)と採番、取込時の検証方法を決めます。

項目 内容
Type Manual または Imported
Automatic transaction numbering / Last Number 自動採番と開始番号
Standard Transaction Type 既定の取引タイプ
Invalid Line 不正な明細があったとき請求書全体を拒否する(Reject Invoice)など
Accounting Date in a Closed Period 会計日がクローズ済み期間のとき日付を調整する(Adjust)か拒否するか
Grouping Rule AutoInvoice が明細を請求書にまとめる規則
Receipt Handling for Credits 入金済み請求書へのクレジットメモ取込時の扱い

取込用の取引ソースでは、顧客・品目・勘定などを ID・番号・値のどれで渡すかも指定します。外部システムのコード体系に合わせて決めてください。

  • 分割:期日の異なる複数の分割(Installment)に請求額を分けられます
  • 割引:期日前の支払に割引を付けられます。割引の計算基準(Discount Basis)も指定します
  • 残高繰越請求用の支払条件:請求サイクル(Billing Cycle)を指定した支払条件です。例えば「月末締め、翌月 15 日払い」は、月末締めのサイクルと Due By Day of Month=15 で表します
  • 印刷のリードタイム:支払条件の印刷リード日数を指定すると、期日から逆算した日に請求書を印刷できます

送付先住所・承認限度・明細書

Section titled “送付先住所・承認限度・明細書”
  • 送付先住所(Remit-to Addresses):顧客に支払先を示す住所です。取引の完了に必須で、AutoInvoice は送付先住所を決められない取引を拒否します
  • 承認限度(Approval Limits):ユーザーごとに、文書タイプ(Adjustment、Receipt Write-off、Credit Memo Refund)・通貨・金額範囲で承認できる範囲を決めます。範囲外の修正は承認待ち(Pending Approval)になります
  • 明細書(Statements):明細書サイクルをプロファイルに割り当て、Create Customer Statements で作成します。明細書サイト(Statement Site)を設定すると、アカウント配下の全請求先サイトをまとめた 1 通の明細書になります
  • 督促(Dunning)・回収者:回収と請求書管理 を参照してください
  1. 機能設定マネージャで Receivables のオファリング(Financials)の機能を有効化し、タスクを確認する(FSM)
  2. Manage Receivables System Options で BU ごとのシステムオプションを設定する
  3. Receivables 活動、AutoAccounting、入金区分・入金方法、送付先住所、承認限度、明細書サイクルを設定する
  4. 支払条件 → 取引タイプ → 取引ソースの順に作る
  5. 回収者・督促の設定を済ませてから、プロファイルクラスを作る
  6. 顧客を FBDI で移行する
    1. 『File-Based Data Import for Financials』の Customer Import から CustomerImportTemplate.xlsm をダウンロードする
    2. 列の順序を変えずに入力する(列は削除せず、不要な列は空欄のままにする)。プロファイルの既存値を消すには ! を入れる
    3. CSV(ZIP)を作成し、UCM アカウント fin/receivables/import にアップロードする
    4. Load Interface File for Import を実行し、Import Process に Import Trading Community Data in Bulk を指定する
    5. エラーを確認し、件数と主要項目を照合する
  7. Receivables のデータだけを登録したい場合(TCA のパーティ情報を細かく指定しない場合)は、簡易版の Upload Customers from Spreadsheet も使えます

移行後に、請求先用途がないアカウントを洗い出す SQL の例です(BI Publisher のデータモデルで使う想定)。

Bill-To 用途がない顧客アカウントの確認(例)
SELECT hp.party_name,
hca.account_number
FROM hz_cust_accounts hca
JOIN hz_parties hp ON hp.party_id = hca.party_id
WHERE hca.status = 'A'
AND NOT EXISTS (
SELECT 1
FROM hz_cust_acct_sites_all cas
JOIN hz_cust_site_uses_all csu
ON csu.cust_acct_site_id = cas.cust_acct_site_id
WHERE cas.cust_account_id = hca.cust_account_id
AND csu.site_use_code = 'BILL_TO'
AND csu.status = 'A')
ORDER BY hp.party_name

実務では、移行元の件数(パーティ・アカウント・サイト・用途)と取込後の件数を突き合わせ、差異のある顧客を一覧にします。

落とし穴とベストプラクティス

Section titled “落とし穴とベストプラクティス”
  • プロファイルクラスは「支払・請求の条件のパターン」ごとに少数にし、顧客個別の上書きは例外にします
  • AutoAccounting は COA 設計と同時に決めます。導出元が増えるほど保守とテストが重くなります
  • 取引タイプ・取引ソースは、レポートや会計の切り口として本当に必要な単位に絞ります
  • 対応する試験:AR 模擬テスト の「Setting up common configurations in the Customer Invoice to Receipt process」
  • 覚えるポイント
    • TCA の階層(パーティ → アカウント → サイト → 用途)と、取引に Bill-To 用途が必須であること
    • 顧客サイトと顧客アカウント関係は BU 固有の参照データセットのみ
    • 新規アカウントには DEFAULT プロファイルクラス、サイトには自動で付かない
    • AutoAccounting の勘定タイプと導出元(Unbilled Receivable は In Arrears、Unearned Revenue は In Advance)
    • 取引タイプの作成順(クレジットメモ → 請求書 → デビットメモ → チャージバック)
    • 承認限度の文書タイプ(Adjustment、Receipt Write-off、Credit Memo Refund)
    • 顧客の FBDI は Import Trading Community Data in Bulk

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