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プロジェクト原価(原価取込・配賦・資産化)

Project Costing は、プロジェクトに発生した原価を集め、検証し、間接費を加え、会計と資産化につなぐ機能です。実装ガイドでは Project Costing Base(原価の収集・監視・影響管理)と Capital Projects(資産原価の記録・資本化利息・資産イベント)に分かれています。

取込元(Payables・Purchasing・Cost Management・Time and Labor・外部システム)
→ Load Interface File for Import(外部ファイルのみ)→ Import Costs(検証・処理)
→ 経費項目 + 原価配布 + 会計イベント … Manage Project Costs で確認
→ バーデン計算・配賦・調整
→ Create Accounting(SLA)→ GL
└→ 資本プロジェクトのみ:資産ライン → 資産 → Fixed Assets

原価に関わる組織と設定は次のとおりです。全体の組織設計は PPM の全体像 を参照してください。

組織・設定 原価での役割
BU(Project Accounting 機能) プロジェクトを持つ単位。元帳に紐づき、プロジェクト・タイプとレート・スケジュールのセットを決める
経費組織(Project Expenditure Organization) 原価を発生させる部署。労務原価ルール(Organization Costing Rules)などの単位
プロジェクト会計期間 原価の会計日付を決める。GL の会計期間とは別に管理され、オープン/クローズの運用はオプションで選ぶ

実装ガイド「Using Project Costing」の取込元の整理は次のとおりです(26D)。

連携元 対象の取引(ガイドの表記) 備考
Payables Supplier invoice、Self-Assessed Tax プロジェクト情報を持つ請求書配布が対象
Purchasing Purchase Orders、Purchase Requisitions 報告用のコミットメント(実績前の確約済み原価)として扱う
Cost Management Expense-Based Receipts、Inventory Miscellaneous Transactions、Inventory Movement Requests 在庫の間接費は、直接原価ゼロでバーデン原価だけを持つ別の経費項目として取り込む
Time and Labor Time Card Import Costs で取込。取引ソースは Oracle Fusion Time and Labor
外部システム 外部の労務・非労務・会計済原価 ADFdi・Web サービス・FBDI・REST

サプライチェーン連携(Project-Driven Supply Chain)では、購買オーダー・移動オーダー・販売オーダーの出庫・製造や保守の作業オーダーの原価もプロジェクトに取り込めます。経費精算書の原価の経路は、導入する構成により異なるため「Implementing Expenses」と実装ガイドの Project Costing Integrations の章で確認してください。

  1. ADFdi スプレッドシート:Capture Costs の画面から労務・非労務の原価を入力します(サードパーティ用のテンプレートもあります)
  2. FBDI:Import Costs の Excel テンプレートで CSV を作り、Load Interface File for Import で PJC_TXN_XFACE_STAGE_ALL に読み込み、Import Costs を実行します。在庫原価・その他原価用のテンプレートもあります
  3. REST/Web サービス:未処理原価(Unprocessed Project Costs)や外部コミットメント(Project Commitments)の REST API があります
  4. 画面入力:Manage Unprocessed Costs でサードパーティ取引を直接作成できます

Import Costs は取込・検証・処理を行い、経費項目・原価配布・会計イベントを作ります。処理モード(Process Mode)で、取込と処理を一度に行うかを選べます。検証で見られる主な条件は次のとおりです。

  • プロジェクトのステータスが新規原価を許可していること
  • 経費項目の日付が、プロジェクト・タスク・組織の有効期間内であること
  • タスクがチャージ可能で、経費タイプと経費組織が有効であること
  • 取引制御(Transaction Controls):プロジェクトまたはタスクに設定した、経費分類・経費タイプ・システム人物タイプ・ジョブなどの組合せ
  • 人に紐づく原価では、HCM の割当ステータスが非アクティブ・停止中だと既定ではエラーになります。例外許可の方法は公式で確認してください

請求可否と資産化可否は、タスクの設定と作業タイプ(Work Type)から決まり、取引ごとの値がタスクの値より優先されます。エラーは Costs の概要、Import Costs のレポート、Manage Unprocessed Costs で確認し、修正して再処理します。経費バッチの承認が有効なソースでは、承認済みのバッチだけが処理されます。

  • 内部コミットメント(PO・購買依頼):Update Project Performance Data で処理・集計します
  • 外部コミットメント:Import Commitments または Project Commitments REST API で取り込みます

キャンセルした PO が確定前原価として残る場合の対処は、ガイドの FAQ にあります。

バーデンは、直接原価(Raw Cost)に間接費を加えてバーデン原価(Burdened Cost)を求める仕組みです。構成要素は次のとおりです(実装ガイドの Burdening 章)。

要素 役割
バーデン・コスト・ベース/コード 間接費をかける対象の原価と、間接費の種類(例:福利厚生費、部門共通費)
バーデン構造(Burden Structure) ベースとコードの組合せと適用順。加算(Additive)と優先順位(Precedence)の 2 種類
バーデン・スケジュール 組織ごとまたは全組織共通の乗数。BU 単位の乗数も設定できる
  • 有効化と割当:プロジェクト・タイプでバーデンを有効にし、スケジュールをプロジェクト・タイプ、プロジェクト、タスクに割り当てます。タスク単位の割当がバーデン計算に使われます
  • 加算と優先順位の違い(説明用の例):直接原価 100、コード A 30%、コード B 20% の場合、加算では A・B とも直接原価にかけて合計 150、優先順位では A を加えた 130 に B をかけて 156 になります(正確な定義は Examples for Additive and Precedence Burden Structures で確認)
  • 乗数の変更後は Recalculate Burden Costs で再計算します。乗数編集の注意点(Project Cost Transactions 章)とバーデン計算のテスト(Overhead Costs to Projects 章)がガイドにあります
  • バーデン原価の扱い(Burden Cost Options)はプロジェクト・タイプで選びます。選択肢と会計への影響は公式ガイドで確認してください

配賦(Allocations) は、原価のプールを基準に従って複数のプロジェクトやタスクへ按分する機能です。ルールで按分基準(Basis methods)と相殺の作り方(Offset methods)を選びます。ガイドには、共有サービス・プロジェクトの人件費や GL の賃料の配賦例があります。

調整(Adjustments) は、処理済みの原価をアクションで変更します。

アクション 内容
Transfer プロジェクト・タスク・経費タイプなどの付替え
Split/Split and Transfer 数量の分割(数量は直接編集できない)/分割と付替え
Set to Billable/Nonbillable 請求可否の変更
Set to Capitalizable/Noncapitalizable 資産化可否の変更
Change Work Type 作業タイプの変更

調整には承認ワークフローがあり、承認後に反映されます。Time and Labor 由来の原価は、Time and Labor 側で変更して再取込すると Project Costing 側の調整が上書きされます。処理済み原価の取消(Reverse)は専用の手順があります。

原価は会計イベントから SLA で仕訳になり、GL へ転送されます。「Using Project Costing」の会計の章には、プロジェクト会計期間の運用、会計イベントのスイープ、勘定科目ルール、会計ステータス、外部での会計(Accounting Project Costs Externally)、予算管理用の勘定が含まれます。

典型的な仕訳は次のとおりです(設定により異なる例)。

原価の計上 Dr プロジェクト原価(費用または資産化前の勘定) / Cr 取引元に応じた相手勘定
バーデン原価 Dr バーデン原価(間接費) / Cr 間接費の相殺勘定

資本プロジェクトは、プロジェクト・タイプの Enable capitalization で有効にします。

  1. 資本化可能な原価を集めます(資産化可否は取引ごとに決まる)
  2. 資産ライン(Asset Lines)を生成します。資産が決まっていない行は未割当になります
  3. 資産ラインを資産に割り当てます。資産はプロジェクトまたはタスクに割り当てます
  4. 資産原価を Fixed Assets へ送ります。結果は Transfer Assets to Oracle Fusion Assets Execution Report で確認します
  • 配賦方法(Asset Cost Allocation Method)の既定値はプロジェクト・タイプにあり、テンプレート・プロジェクト・キャピタル・イベントで上書きできます。方法が None だと資産ラインは未割当のままで、手動割当が必要です
  • 資産に直接関連する原価は、自動作成した資産へそのまま配賦され、配賦方法は適用されません
  • 資本化利息(Capitalized Interest)は、プロジェクトで利息計算を許可し、レート・スケジュールと停止日を指定します。スケジュールは組織階層(または組織ごとの乗数)が前提で、階層なしの導入手順は Considerations for Implementing Project Financial Management Without an Organization Hierarchy で確認してください
  • 資産化後の仕訳は FA 側の設定(資産カテゴリ・CIP)に依存します(固定資産(FA)の全体像、資産のライフサイクル)
  1. 組織・Foundation:プロジェクト・ユニット、BU、経費分類・経費タイプ、作業タイプ、ステータス、リソース、レート・スケジュール(プロジェクト構成)
  2. バーデン:コスト・ベース/コード → 構造 → スケジュール → プロジェクト・タイプのバーデン設定
  3. Define Project Costing Configuration:プロジェクト取引ソース(Project Transaction Sources)、Time and Labor 連携、資本プロジェクトの配賦方法、労務配賦、貸借 BU(Borrowed and Lent)
  4. 他アプリ連携の設定(Payables・Purchasing・Inventory 側の勘定導出など)
  5. 会計ルール(SLA)と、予算管理を使う場合は予算管理の設定
種類 例 実現手段
インターフェース 外部の勤怠・経費・SaaS からの原価取込 FBDI+OIC のスケジュール統合、REST
拡張 取込データに独自の属性を持たせる Cost Collection フレックスフィールド
帳票 プロジェクト別原価一覧、取込エラー通知 OTBI、BI Publisher

Fit to Standard では、独自の単価表はレート・スケジュールで、間接費の配賦はバーデンか配賦ルールで、資産の按分は配賦方法で標準対応できないかを先に確認します(標準機能とアドオンの考え方)。

落とし穴とベストプラクティス

Section titled “落とし穴とベストプラクティス”
  • 取込エラーは日次で確認する運用にし、エラー原因(ステータス・日付・取引制御)の一覧をテンプレート設計の資料にします
  • バーデン乗数の編集は、再計算の要否など影響範囲を確認してから行い、期間ごとのバージョンで管理します
  • 外部取込は取引ソースと文書の組合せを最小限にし、Import Costs の Process Mode と再処理手順をテストで固めます
種類 名前(26D のガイドで確認) 用途
ESS Load Interface File for Import CSV をインターフェース表へ読込
ESS Import Costs 原価の取込・検証・処理
ESS Import Commitments 外部コミットメントの処理
ESS Update Project Performance Data 内部コミットメントの処理・集計
ESS Import Payroll Costs 給与原価の取込(Labor Distribution)
表 PJC_TXN_XFACE_STAGE_ALL 原価取込のステージング
表 PJC_TXN_XFACE_AUDIT_ALL 取込データの編集・削除の監査スナップショット
表 PJC_EXP_ITEMS_ALL 経費項目(原価の明細)
FBDI Import Costs、Import Project Inventory Costs、Import Project Miscellaneous Costs 原価の一括取込(Excel テンプレート)
REST Unprocessed Project Costs、Project Commitments、Project Costs(adjustProjectCosts)、projectAssets 未処理原価・コミットメント・調整・資産

列の定義は Tables and Views for Project Management、REST のパスは REST API for Oracle Fusion Cloud Project Management で確認してください。

  • 対応試験:PPM 模擬テスト の原価の分野
  • 取込の経路:FBDI は CSV → Load Interface File for Import → Import Costs。Time and Labor は Import Costs で取り込む
  • 内部コミットメント(Update Project Performance Data)と外部コミットメント(Import Commitments)の違い
  • 請求可否・資産化可否は取引ごとの値がタスクの値より優先。調整は Split(数量変更)や Transfer などのアクションで行う
  • バーデンはプロジェクト・タイプで有効化し、スケジュールをタスクなどに割り当てる。構造は加算と優先順位
  • 資産化:資産ライン → 資産割当 → Fixed Assets。配賦方法が None なら未割当

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