セキュリティ演習:カスタムロールとデータアクセスを設定する
この演習で身につくこと
Section titled “この演習で身につくこと”- Security Console で事前定義ロールの階層を読み、コピーして職務ロールを調整できる
- ユーザーにカスタムロールを割り当て、Manage Data Access for Users で BU を付与できる
- 付与結果を、メニュー・ロール差分・実データの 3 つの観点で確認できる
- 環境がなくても、要件からロール設計シートとデータアクセス設計表を作れる
用語は セキュリティの基本、設計の考え方は セキュリティ設計 を参照してください。
前提・準備(Fusion 環境あり/なし)
Section titled “前提・準備(Fusion 環境あり/なし)”シナリオ(架空)
Section titled “シナリオ(架空)”サンプル商事株式会社では、JP01 営業単位の AP 担当者(ユーザー名 AP_TANAKA)に、請求書の入力・照会・インポートだけを任せます。分析(OTBI)は AP マネージャーが行うため、担当者には不要とします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 元にするロール | Accounts Payable Specialist(事前定義のジョブロール) |
| 作るロール | SMP JP AP 請求書入力担当(コード SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB) |
| 外す職務ロール | Payables Invoice Transaction Analysis、Spend Transaction Analysis |
| データアクセス | Business Unit = JP01 営業単位 |
Fusion 環境ありルート
Section titled “Fusion 環境ありルート”- IT Security Manager ロールを持つユーザー(Security Console の操作)
- IT Security Manager か Application Implementation Consultant を持つユーザー(Manage Data Access for Users の操作)
- テスト用ユーザー AP_TANAKA(演習用に作成済みとする)と、JP01 営業単位(架空。自社のテスト用 BU に読み替える)
- Excel(Manage Data Access for Users のスプレッドシート用。環境準備は ADFdi を参照)
- 本番環境では行わず、テスト環境を使います
環境なしルート(机上演習)
Section titled “環境なしルート(机上演習)”下の「机上演習」で、要件からロール設計シートを表で作ります。Accounts Payable Specialist の階層は次の表(26D 時点の Security Reference for Financials による。リリースで変わるため実機では Role Hierarchy で確認)を使います。
| 直接継承している主な職務ロール | 内容の目安 |
|---|---|
| Payables Invoice Creation | 画面・スプレッドシートでの請求書作成 |
| Payables Invoice Inquiry | 請求書の照会 |
| Import Payable Invoice Batch | 請求書のバッチ取込 |
| Upload data for Payables Import | 取込用データのアップロード |
| Download data for Payables Export | データのダウンロード |
| Supplier Profile Inquiry | 仕入先情報の照会 |
| Payables Invoice Transaction Analysis | 請求書の分析(OTBI) |
| Spend Transaction Analysis | 支出の分析(OTBI) |
| Financials Folder Reporting、Procurement Folder Reporting | レポートフォルダへのアクセス |
| Transaction Entry with Budgetary Control | 予算統制付きの取引入力 |
| Party Taxpayer Identifier PII | 納税者番号などの個人情報の参照 |
ステップ1 元のロールを確認する
Section titled “ステップ1 元のロールを確認する”- ナビゲータ > Tools > Security Console > Roles タブ
- 「Accounts Payable Specialist」を検索して選択します。階層は表形式で表示されます(Show Graph でグラフ表示)
- 直接継承している職務ロールを確認します。外したい 2 つが直下にあることを確認します
- 検索結果のメニューから Simulate Navigator を実行し、Show Access Granted で表示されるメニューを記録します(後で比較するため)
ステップ2 トップロールだけをコピーする
Section titled “ステップ2 トップロールだけをコピーする”- 検索結果の Accounts Payable Specialist の下矢印 > Copy Role
- Copy Options で Copy top role を選び、Copy Role
- Copy Role: Basic Information で次を入力します
- Role Name:SMP JP AP 請求書入力担当
- Role Code:
SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB(ORA_で始めない) - Description:Accounts Payable Specialist をコピーし、分析系の職務ロールを削除
- Summary and Impact Report を確認し、Submit and Close
- Administration タブ > Role Status サブタブで、状態が Complete になるまで待ちます
ステップ3 職務ロールを調整する
Section titled “ステップ3 職務ロールを調整する”- Roles タブでコピーしたロールを検索し、下矢印 > Edit Role
- Basic Information はそのまま Next(ロールコードは変更できません)
- Function Security Policies はそのまま Next
- Data Security Policies は変更せず Next
- Role Hierarchy で Payables Invoice Transaction Analysis を選び、Delete アイコン > OK。Spend Transaction Analysis も同様に削除します
- Summary and Impact Report で、削除した 2 つのロールと影響を確認し、Save and Close
ステップ4 ユーザーにロールを割り当てる
Section titled “ステップ4 ユーザーにロールを割り当てる”公式手順では、ロールの付与の後にデータアクセスを付与します。先にユーザーへロールを割り当てます。
- Security Console > Users タブで AP_TANAKA を検索し、ユーザー名のリンクを開く
- Edit > Add Role
- 「SMP JP AP 請求書入力担当」を検索し、Add Role Membership > Done
- Save and Close
本番運用では、手作業の割当ではなくロール・マッピング(Manage Role Provisioning Rules)で自動付与します(発展課題1)。
ステップ5 BU のデータアクセスを付与する
Section titled “ステップ5 BU のデータアクセスを付与する”- 設定および保守(Setup and Maintenance)でタスク Manage Data Access for Users を検索して開く
- Users without Data Access を選択
- Security Context で Business Unit を選び、Role に「SMP JP AP 請求書入力担当」を指定して Search
- AP_TANAKA が表示されたら Authorize Data Access > OK でスプレッドシートを開く
- AP_TANAKA の行の Security Context Value に「JP01 営業単位」を入力
- スプレッドシートの Upload > Upload Options で OK
- Upload 列が Successful になったことを確認し、Manage Data Access for Users で Users with Data Access を選んで結果を確認
ステップ6 結果を確認する
Section titled “ステップ6 結果を確認する”- メニュー:Security Console でカスタムロールの Simulate Navigator を実行し、ステップ1 の記録と比べます
- ロール差分:Roles タブの Compare Roles で、First Role に Accounts Payable Specialist、Second Role にカスタムロールを指定し、Filter Criteria を Inherited roles、Show を「Only in first role」にして Compare。外した 2 つの職務ロールと、その配下だけにあったロール(例:Business Intelligence Authoring)が表示されれば想定どおりです
- データ:AP_TANAKA でサインインし、請求書の作成画面で Business Unit の選択肢に JP01 営業単位だけが表示されることを確認します
- 記録:スケジュール済プロセス User and Role Access Audit Report を、Report Type = Role name、Role Code = カスタムロールで実行し、出力(CSV)を設計書の証跡にします
確認ポイント
Section titled “確認ポイント”- カスタムロールのコードが
ORA_で始まっていない - Role Status が Complete になってから編集した
- Compare Roles で、元ロールとの差分が外した 2 つの職務ロール(とその配下)だけ
- AP_TANAKA にロールが付き、Business Unit = JP01 営業単位のデータアクセスがある
- AP_TANAKA の請求書作成画面で JP01 以外の BU が選べない
- 証跡(User and Role Access Audit Report の出力)を保存した
机上演習(環境なしルート)
Section titled “机上演習(環境なしルート)”サンプル商事株式会社の AP 業務について、次の要件からロール設計シートを作ってください。
- BU は JP01 営業単位と JP02 営業単位の 2 つ
- 担当者 A(AP_TANAKA):JP01 の請求書の入力・照会・取込だけ。分析は不要
- 担当者 B(AP_KATO):JP01 と JP02 の請求書の入力・照会・取込。分析は不要
- AP マネージャー(AP_MGR_ITO):両 BU の請求書・支払の管理と分析
- 外部の OCR システムから、統合ユーザーで JP01 の請求書を一括取込する
- 請求書を入力する人は、支払を実行しない(職務分掌)
作るもの:
- 表1 ロール設計シート(ロールコード/元ロール/コピー方式/変更内容)
- 表2 データアクセス設計表(ユーザー/ロール/セキュリティ・コンテキスト/値)
- 表3 SoD チェック(ユーザー/持つ職務/衝突の有無)
解答例を表示
表1 ロール設計シート
| ロールコード | 元ロール | コピー方式 | 変更内容 |
|---|---|---|---|
| SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB | Accounts Payable Specialist | Copy top role | 分析系の 2 職務ロールを削除 |
| SMP_JP_AP_MANAGER_JOB | Accounts Payable Manager | Copy top role | 変更なし(命名の統一と将来の調整用) |
| SMP_JP_INT_AP_IMPORT_JOB | 新規作成 | — | 請求書の取込に必要な権限だけ(候補:Upload data for Payables Import、Import Payable Invoice Batch。実際に必要な権限はテストで確定) |
表2 データアクセス設計表
| ユーザー | ロール | セキュリティ・コンテキスト | 値 |
|---|---|---|---|
| AP_TANAKA | SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB | Business Unit | JP01 営業単位 |
| AP_KATO | SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB | Business Unit | JP01 営業単位 |
| AP_KATO | SMP_JP_AP_INVOICE_ENTRY_JOB | Business Unit | JP02 営業単位 |
| AP_MGR_ITO | SMP_JP_AP_MANAGER_JOB | Business Unit | JP01 営業単位 |
| AP_MGR_ITO | SMP_JP_AP_MANAGER_JOB | Business Unit | JP02 営業単位 |
| INT_AP_OCR | SMP_JP_INT_AP_IMPORT_JOB | Business Unit | JP01 営業単位 |
表3 SoD チェック
| ユーザー | 持つ職務 | 衝突 |
|---|---|---|
| AP_TANAKA、AP_KATO | 請求書の入力・照会・取込 | なし(支払の権限を持たない) |
| AP_MGR_ITO | 請求書・支払の管理、分析 | 入力と支払の両方を持つ。承認と定期点検で補完するか、支払担当を別にする |
| INT_AP_OCR | 請求書の取込 | なし(画面操作や支払の権限を持たない) |
解説
- 担当者 A と B は同じロールで、違いはデータアクセス(BU)だけです。ロールを BU ごとに分けないのがポイントです
- 担当者のロールに支払関連の職務がないことは、元ロールの階層と Compare Roles で確認します
- AP マネージャーの衝突は、ロールを分けるか、統制(承認・点検)で補うかを業務側と決めて設計書に残します
- 統合ユーザーは人と分け、専用のユーザー・カテゴリでパスワード方針を管理します
よくあるエラーと対処
Section titled “よくあるエラーと対処”| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| コピーしたロールを編集できない | コピー処理が未完了。Administration タブ > Role Status で Complete を待つ |
| 職務ロールを削除できない | 間接的に継承しているロール。直接継承している親のロールを外すか、親を編集する |
| 権限を追加するとエラーになる | その権限は集約権限に含まれている。Role Hierarchy で集約権限ごと追加する |
| Manage Data Access for Users でユーザーが出ない | ユーザーにロールが付いていない、または同期前。ロール付与を確認し、Retrieve Latest LDAP Changes を実行する |
| アップロードが Failed になる | スプレッドシートの値を直して再アップロード。ログでエラー内容を確認する |
| BU の選択肢が空 | データアクセスが別のロールに付いている。View Data Access でロールと BU の組合せを確認する |
- ロール・マッピング「JP01 AP 担当」(例:Department = 経理部、Job = AP 担当)を Manage Role Provisioning Rules で作り、Autoprovision Roles for All Users を実行して自動付与を確認する
- User and Role Access Audit Report を Data Security Policies 付きで実行し、カスタムロールのデータセキュリティ・ポリシー(BU 条件)を読み解く
- 四半期アップデートを想定し、Compare Roles で元ロールとの差分を確認する手順書を作る(セキュリティ設計 の「四半期アップデートで事前定義ロールが変わる影響」)
- 特定の部門の費用勘定を読取専用にしたい要件を、セグメント値セキュリティで設計する(規則用ロール・業務機能・セキュリティ・コンテキスト・アクセスレベル)
- AP 請求書の承認ルートを 承認ワークフロー の考え方で設計する
公式ドキュメント
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