輸送計画・実行・運賃精算と貿易コンプライアンス
輸送と貿易は、次のオブジェクトの流れで進みます。全体の役割分担は OTM/GTM の全体像 を参照してください。
Fusion の販売注文 → Order Release(Order Release Lines) → 計画(バルク・プラン) → Shipment → テンダー(承諾/辞退) → 実行・追跡(ステータス・イベント) → 運送会社の請求書 → 突合 → Voucher → AP の支払・会計
GTM:Trade Transaction に対して、スクリーニング・品目分類・ライセンス・通関申告(Declaration)| 段階 | 主なオブジェクト・操作 | 連携・自動化 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 取込 | Order Release、Order Release Lines | Fusion から REST・SOAP・FBDI | Integration Playbooks(26B) |
| 計画 | Shipment、バルク・プラン、Itinerary、Rate | 計画パラメータ | Online Help で確認 |
| テンダー | Tender Shipment、自動テンダー、Booking | 運送会社のユーザー(SERVPROV) | Online Help(Tender Shipment ほか) |
| 実行・追跡 | ステータス・イベント、Process Management | Workflow Agents から WMS・外部へ | Playbooks、Online Help |
| 運賃精算 | 請求書、Voucher | AP へ連携(設計) | Online Help(Voucher) |
| 貿易 | Trade Transaction、Declaration、スクリーニング | Content Source、Download Data Content | Online Help(Restricted Party Screening) |
輸送計画:Order Release から Shipment へ
Section titled “輸送計画:Order Release から Shipment へ”計画は、輸送の需要(Order Release)を、運送会社が運ぶ単位(Shipment)にまとめる作業です。Shipment は、どの運送会社が、どの経路で、どの Order Release を運ぶかという計画の結果を表します。用語の定義の詳細は Online Help で確認してください。
| 入力 | 内容 | 決める場所 |
|---|---|---|
| Order Release | 運ぶ品目・数量・荷姿、希望日時、発着地 | Fusion の販売注文から取込 |
| ロケーション | 発着地の住所、営業時間 | マスタ |
| 設備 | 車両・コンテナなどの種類と積載量 | マスタ |
| 料金 | 運送会社ごとの運賃(Rate Offering・Rate Record) | マスタ |
| 経路 | 経由地の並びと区間(Itinerary) | マスタ |
| 計画パラメータ | 統合の条件、制約の扱い | 設定 |
直送と統合配送
Section titled “直送と統合配送”- 直送:1 つの Order Release を 1 つの Shipment で運びます。
- 統合配送(コンソリデーション):同じ方面の複数の Order Release を 1 つの Shipment にまとめ、1 件あたりの運賃を下げます。複数の集荷地・届け先を回るマルチストップや、拠点で積み替えるクロスドックなどの形があります。
- バルク・プラン(Bulk Plan):多数の Order Release をまとめて計画し、Shipment を作る実行です。日次のバッチ計画に向きます。
統合の条件(方面、時間枠、積載の上限)は計画パラメータで調整します。パラメータの名称と既定値は、リリースにより異なるため公式ドキュメントで確認してください。
ルート(Itinerary)と運送会社の選定
Section titled “ルート(Itinerary)と運送会社の選定”- Itinerary は、区間(レグ)の並びと、各区間で使う運送会社・輸送モードを定義します。幹線輸送 → 拠点 → 配送のような多段の輸送を表せます。
- Rate Offering は運送会社・モード・サービスなどを持つ料金の契約単位、Rate Record は区間・距離・重量などに応じた料金の明細です。
- 運送会社の選定では、使える Itinerary と料金を照らし、費用・所要時間・制約を満たす候補を選びます。
テンダー:運送会社への提示
Section titled “テンダー:運送会社への提示”計画した Shipment を運送会社へ提示し、承諾か辞退を受けるのがテンダーです。公式の Online Help には、Tender Shipment、Overview of Tender and Booking Setup(テンダーと Booking の設定の概要)、glog.tender で始まるプロパティ群のページがあります(Tender Shipment と Overview of Tender and Booking Setup は本文を確認、glog.tender のプロパティ群はページの存在だけを確認しました)。
- 承諾:Shipment が確定します。承諾をきっかけに Workflow Agents が倉庫へ通知する動きが、公式の例です。
- 辞退・無応答:次の運送会社へ回す、または再計画します(自動で次へ回るかは設定とリリースで確認)。
- テンダーの方式(26C の Overview of Tender and Booking Setup で確認):Pickup notification(運送会社の承諾の応答を求めない。ワークフロー・パラメータ
AUTO_MODESを輸送モードに設定)、Auto tender(実行後に自動で運送会社へ提示。バルク・プランで作った Shipment は自動テンダーされ、統合で入る Shipments as Work や Shipment Manager の手入力は Agent Manager の Secure Resources を選んだときだけ自動)、Manual tender(計画担当者が運送会社を選ぶ。手入力の Shipment の既定)の 3 つです。モード別の動きは Workflow Parameters で設定します。同ページは、Shipment を実行(Execute)してからテンダーすると説明しています。 - 手動テンダー(Tender Shipment、26C で確認):対象は、Shipment status が SECURE RESOURCES で、ステータス値が NOT_STARTED、DECLINED、WITHDRAWN、NO RESOURCES の Shipment です。提示すると運送会社へテンダー通知が届き、応答タイマーが始まり、ステータスは SECURE RESOURCES_TENDERED になります。運送会社の応答は、連携の送信(transmission)、Fax、メール、Online Booking and Tendering 画面のいずれかです。提示済みのテンダーは取り下げ(Withdraw)できます。自動テンダーは設定した最大の運送会社数で止まり、以降は手動です。再テンダーの上限は、Shipment の MAX NUMBER OF RETENDERS またはワークフロー・パラメータ MAX_NUM_RETENDERS です。承諾・辞退の後にシステムが次の運送会社へ自動で回す動きは、このページには記載がありませんでした。
- スポット入札・同時提示:スポット入札(Spot Bid 画面)は存在しますが、順次・同時提示などの方式名と挙動は確認できていません。Online Help の Tender の章で確認してください。
- Booking:テンダーとは別に、予約(Booking)の設定があります。海上・航空のように予約が前提の輸送で使います(対象は Online Help で確認してください)。
- 運送会社の操作:運送会社のユーザーは、標準ドメイン SERVPROV に置きます。画面で応答させるか、EDI・API で受けるかは設計で決めます。
- ステータス・イベント:集荷・出発・到着・遅延などを、運送会社や外部システムから登録します。Online Help には、出荷の処理を扱う Process Management の Shipment Management のページがあります(内容は公式で確認してください)。
- Workflow Agents:ビジネスオブジェクトのライフタイム・イベントをきっかけに、定義済みのタスクと連携タスクを動かします。Order Management のオーケストレーションに似た仕組みです(オーケストレーション)。
- 例外への対応:遅延や運送会社の辞退を検知して通知し、再計画につなげます。
- Fusion への返送:出荷実績や到着の情報を OM・在庫管理へ返す連携は、REST・SOAP のアウトバウンドで設計します。
運賃精算:請求書からバウチャー、AP へ
Section titled “運賃精算:請求書からバウチャー、AP へ”運賃精算は、運送会社の請求書を、計画時の運賃と契約の料金に突合し、承認した分を支払へ回す業務です。
- 運送会社の請求書(Invoice)を登録します(画面、取込、連携)
- 対象の Shipment と運賃を突合します。差異が許容の範囲かを確認します
- 承認した請求書から Voucher を作ります。Voucher は支払の対象を表します(Online Help に Voucher のページがあります)
- Voucher の内容を AP へ渡し、買掛請求書として支払います(渡し方は設計で決めます)
運賃の突合の許容差や自動承認のルールは、公式ドキュメントで確認してから設計します。
1. OTM/GTM:Voucher が承認される(イベントの種類は公式で確認)2. Oracle Integration:イベントを受け、REST で Voucher の明細を取得する3. Oracle Integration:運送会社コード → 仕入先、運賃 → 請求書明細(勘定科目)へ変換する4. Fusion AP:請求書を取り込む(FBDI または REST)5. Oracle Integration:取込結果を OTM/GTM へ返し、失敗は一覧にして再処理するこれは公式の事前構築統合ではなく、公式で確認できた連携方式の組合せによる設計例です。事前構築の統合があるかは、My Oracle Support の KB2115 などで確認してください。支払・会計は AP の請求書 と AP の支払 の流れになります。
貿易コンプライアンス(GTM)
Section titled “貿易コンプライアンス(GTM)”GTM は、輸出入の取引を Trade Transaction(貿易取引) として持ち、その取引、当事者、申告(Declaration)に対して、スクリーニング・品目分類・ライセンスの判定・通関の書類作成を行います。照合に使う規制データ(制限当事者リスト、品目分類、原産地規則)は、コンテンツ提供元から取得して更新します。
制限当事者スクリーニング(RPS)
Section titled “制限当事者スクリーニング(RPS)”目的は、制裁や禁輸の対象となっている相手との取引を避けることです。違反すると、罰金や輸出特権の喪失につながります。照合の対象は、当事者(Party)とコンタクトのマスタ、貿易取引、申告です。スクリーニングの種類には、制限当事者リスト、red flag、debarred country などがあります(Online Help、26A)。
| 手順 | 内容 | 主な設定・画面 |
|---|---|---|
| 1. Data Content Source | 取得するコンテンツ(Restricted Party List、Product Classification、Rules of Origin など)と、HTTP での取得方法を定義 | Content Source |
| 2. Download Data Content | 即時、または定期スケジュールでコンテンツを取得 | Process Management の Download Data Content |
| 3. Configure Screening Parameters | マッチングエンジン、照合する属性、しきい値、重み、除外語、句読点を設定 | Screening Service Configuration、Exclusion Words、Punctuation List |
| 4. Perform Screening | アドホック、または当事者・取引・申告に対して実行 | Party Screening、Transaction Screening |
| 5. Review Screening Results | 一致の可能性がある当事者を確認し、取引してよいかを判断 | Restricted Party Workbench、Work Queues |
- マッチングエンジンは Keyword と Dice の 2 種類が挙げられています。しきい値と重みで、見逃しと誤検知のバランスを調整します
- 起動のタイミングは、当事者の作成時、取引の発生時、アドホック(当事者をマスタへ登録する前の確認など)です。業務の任意の時点でエンジンを呼び出せます
- 結果のステータス値、保留(Hold)や上書き(Override)の扱いは、今回確認したページには書かれていませんでした。Restricted Party Screening Resolution のページで確認してください
品目に、関税分類(HS コードなど)や輸出管理の分類コードを付けます。GTM のコンテンツの種類に Product Classification があり、分類のデータをコンテンツ提供元から取り込めます。分類は、ライセンスの判定や関税の計算の入力になるため、品目マスタの整備が先です。分類コードの種類と持ち方は、Online Help で確認してください。
輸出入に許可が必要かを、品目・仕向地・取引先から判定し、必要な許可(ライセンス)の有効期限と残りの数量・金額を管理します。判定のルールと、ライセンスを取引へ割り当てる仕組みは、Online Help で確認してください。
通関(Customs)
Section titled “通関(Customs)”通関では、申告(Declaration)を作成し、通関システムへ提出します。公式の Customs Filing Integration Guide(26C)は、米国の AES(Automated Export System)への申告の作成と連携を扱います。日本の通関システム(NACCS など)への申告が標準で用意されているかは、今回の調査では確認できていません。輸入では、関税や諸掛りを含む着地原価(Landed Cost)を試算する Landed Cost Simulator の資料も公式にあります。
原産地と規制コンテンツ
Section titled “原産地と規制コンテンツ”Rules of Origin(原産地規則)は、Content Source で取得できるコンテンツの種類の 1 つです。規制コンテンツの提供と更新の仕組みは、Regulatory Content System Guide(26C)にあります。
標準機能とアドオン
Section titled “標準機能とアドオン”| 要件 | 標準での実現 | アドオンが必要になりやすい点 |
|---|---|---|
| 計画の調整 | 計画パラメータ、バルク・プラン、料金・経路の設定 | 荷主固有の積載・配車ルール(Workflow Agents で先に検討) |
| テンダー | Tender Shipment、自動テンダー、Booking | 運送会社の独自システムとの接続(Oracle Integration) |
| 追跡 | ステータス・イベント、Process Management | 外部の追跡サービス、車載機器の取込 |
| 運賃精算 | 請求書の突合、Voucher | AP への連携、請求書の形式変換 |
| スクリーニング | Content Source、マッチング設定、Restricted Party Workbench | 外部リストの追加、承認フローの調整 |
| 通関 | 申告の作成、米国 AES の連携 | 日本の通関システムとの接続 |
まず標準の設定で満たせるかを確認します(標準機能とアドオンの考え方)。
ベストプラクティス
Section titled “ベストプラクティス”- 料金は、運送会社の契約書の構造(距離別、重量別、地帯別、割増)を先に分類し、それを OTM の料金にどう載せるかを決めてから移行します。移行後は、代表的な区間で運賃の試算を契約と照合します
- ロケーションの住所とコードを整えてから、計画を試します。重複したロケーションは、計画と運賃の精度を下げます
- テンダーの応答期限と、辞退時の動き(次の運送会社か、再計画か)を、運用の締め時刻とそろえます
- Workflow Agents は、目的と契機を一覧にして管理します。連携先が止まったときの再送も決めます
- 運賃精算は、運送会社の請求書の形式ごとに取込を設計し、差異の許容と承認者を先に決めます
- スクリーニングは、しきい値を 1 回で決めず、実データで誤検知と見逃しを見ながら調整します。取り込んだリストの更新頻度(Download Data Content の定期実行)も決めます
- テストでは、計画 → テンダー(承諾・辞退・無応答)→ 実行 → 請求書 → Voucher → AP の流れと、スクリーニングの一致・不一致を通します
日本での導入の考慮点
Section titled “日本での導入の考慮点”国内輸送の運賃体系、2024 年問題、運賃の請求書とインボイス制度、外為法の輸出管理、NACCS による通関などの論点は、OTM/GTM の全体像 の「日本での導入の考慮点」にまとめています。公式で確認できた日本向けの機能はありません(2026 年 10 月の調査)。
実装リファレンス
Section titled “実装リファレンス”公式の Online Help のページ(検索で確認した URL)です。画面名・手順・パラメータは、各ページで確認してから使ってください。
| 領域 | ページ | 確認 |
|---|---|---|
| テンダー | Tender Shipment、Overview of Tender and Booking Setup、glog.tender Properties |
26C |
| 実行 | Process Management: Shipment Management | 26C |
| 運賃精算 | Voucher | 26C |
| スクリーニング | About Restricted Party Screening と、関連の Global Trade Content、Screening Service Configuration、Match Engines、Screening Restricted Parties、Restricted Party Screening Resolution、Restricted Party Workbench | 26A |
| 貿易取引 | Trade Transactions | 21A(古い版。画面は 26C で確認) |
| 規制コンテンツ | Regulatory Content System Guide | 26C |
| 通関 | Customs Filing Integration Guide(米国 AES) | 26C |
連携方式(FBDI・REST・SOAP・ライフタイム・イベント)は 全体像の実装リファレンス にあります。OTM/GTM のテーブル定義は My Oracle Support の Data Dictionary(KB153929 の追加資料)で確認します。
試験対策ポイント
Section titled “試験対策ポイント”対応する試験は OTM/GTM 模擬テスト(1Z0-1079-26)です。分野は、このサイト独自の区分のうち「オーダーと輸送計画」「テンダーと実行・追跡」「運賃精算」「貿易コンプライアンス(GTM)」に当たります。公式の Exam Topics は確認できていないため、受験前に公式ページで最新の出題範囲を確認してください。
- Order Release は販売注文の輸送可能な部分。計画で Shipment にまとめる(直送・統合配送)
- Itinerary は経路、Rate Offering・Rate Record は料金。料金のない区間は計画できない
- テンダーは運送会社へ Shipment を提示し、承諾・辞退を受ける。運送会社のユーザーは標準ドメイン SERVPROV
- Workflow Agents は、ライフタイム・イベントを契機に連携タスクを動かす。承諾後に WMS へ通知する例が公式にある
- 運賃精算は「請求書 → 突合 → Voucher → AP」。支払と会計は AP が担当
- RPS の 5 段階:Content Source → Download Data Content → Screening Parameters → Perform Screening → Review Results
- マッチングエンジンは Keyword と Dice。照合の対象は、当事者・コンタクトのマスタ、貿易取引、申告
- コンテンツの種類には Restricted Party List、Product Classification、Rules of Origin がある。米国の AES への申告は Customs Filing Integration Guide
公式ドキュメント
Section titled “公式ドキュメント”- Tender Shipment(26C)
- Overview of Tender and Booking Setup(26C)
- Process Management: Shipment Management(26C)
- glog.tender Properties(26C)
- Voucher(26C)
- About Restricted Party Screening(26A)
- Trade Transactions(21A)
- Regulatory Content System Guide(26C、PDF)
- Customs Filing Integration Guide(26C)
- Integration Playbooks for SCM:Terminology(26B)
- Online Help(26C)
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